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「離して、くれませんか。」
「ううん。離さない。」
むっ、とした顔で言う増田先輩に呆れて、手を思いっきり引っ張る
でも、手は離れない
この人、握力いくつなんだろう
それか、私が非力すぎるのか
どっちにしても、今の最大問題は手を離すことだ
「・・・今、私、加藤くんと話してたんですけど。
それより、バスで帰るんですけど。」
「おれ、それがいやなの。」
「え？」
「誰でもいやだよ。好きな人が、ほかの男と話してるのは。」
「・・・」
「俺も前から察してたけど、やっぱりAちゃんは、
加藤のことがすき、なんだよね」
「・・・」
「信じたくなかったんだけどね。お昼の時にわかっち
ゃた。」
「・・・」
「だんまり？大丈夫だよ。おれしか知らない」
「脅し、か何かですか？」
「ちがうよ。加藤じゃなくて、おれのことをすきにな
って、ってこと。
加藤は、Aちゃんのこと、どう思ってるかわから
ないよ。すきかもしれないし、すきじゃないかもし
れない。
でも、おれはすきだよ。だいすきだよ。」
「私はっ」
「どうしてすきなの？加藤のこと。」
「好きだからです。全部好きです。
好きになった理由も思い出せないくらい。」
「それって、なんですきなの？
すきな理由もないなら、おれのことすきになった
ら？
おれはAちゃんのこと、すきだし、すきだから
なんでもするよ。」
それじゃだめ？
そう言う増田先輩に頷きそうになる
だって
加藤は、Aちゃんのこと、どう思ってるかわから
ないよ。すきかもしれないし、すきじゃないかもし
れない。
増田先輩のその言葉はその通りだから
だけど、増田先輩は私を好きでいてくれるから
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作者名：しろくまアイス | 作成日時：2023年3月30日 18時
