【忍たま】あこがれ 弐

「気に喰わなかった」 1 ページ10

『ただいま帰りましたよ〜…っと！』



いつもの「おかえり」が返ってこないことに若干の違和感を抱きつつ部屋へと戻る。
授業後とはまた違った疲れがどっと押し寄せ、着替えもせずに縁側に座り込む。



鉢「おっ！？誰かと思ったらAかぁ」

雷「お疲れ様、A」

『誰かと思ったらって、一体誰だと思ったの？』

鉢「うん？だってなぁ、頭がいつもと違うから」



自分の頭を人差し指で突きながら言う三郎。
なんだか小馬鹿にされてるような気がしながら髪結所に寄った話をする。



『生憎、店主の幸隆さんは手が空いてなかったから息子さんにしてもらったんだけどすごく手際良くて驚いちゃった！』

雷「それに物凄く手が込んでるよね。もう一回、後ろ側も見せてよ。」

『いいよー。でもね、随分と若い息子さんだったの。多分、私達とそんなに変わらない年頃なんじゃないかな？』

鉢「へぇ」



Aが二人に背を向けて話し続けると、「ここがこうなって…」とか「なるほどなぁ」と所々つんつんと突きながら何かを確認している。
女装か変装の参考にしているらしい。



『いきなり声かけられたんだけど、優しい雰囲気の人でね〜…あっ！着物可愛いって褒められた！』

鉢「ふ〜ん…あっ！」



三郎の大きな声に何事かと振り返ると、まとめられていた髪の毛がはらはらと解けていった。

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