【忍たま】あこがれ 弐

微熱 2 ページ48

『おばちゃん、ご馳走様でした〜』

お「あぁ、良かった。食欲はちゃんとあるのね。」



お大事にね、と温かい言葉をもらい食堂を出る。
Aは医務室へ寄るから、他の五年生には先に長屋へ戻っても良い、と伝えていたのだが廊下で待っていた。



『医務室にはちゃんと行くから、先に戻って良かったのに。』

八「とか言って、普通に食欲もあるから〜って行かない気がしてさ。」

兵「A、怪我しても医務室に行かないことあるし。」

勘「放っておいても治るから、なんて言うこともあるよな。」

雷「要は、みんな心配してるんだ」

『え、嬉しい。泣いちゃう。』

鉢「目、少しも潤んでいないぞ。」



これから医務室へ行く人とは思えないAの様子。
「心配は分かるけど、みんなして着いて来なくても…」と言いながら医務室へ向かう。



『もう、ここまで来たらちゃんと診てもらうから！みんなは先に戻ってて！』



大勢で押し掛けても迷惑だし、不運が集まる保健委員会の巣窟ともいえる医務室で何に巻き込まれるかも分からない。
学園生活五年目ともなれば、自ずから面倒事を避けられるようになっているのでAのその言葉を信じた五人は長屋へと戻っていった。



『……さて、私も腹括って入りますか。』



医務室の前。
どうか不運に巻き込まれませんように、と心の中で祈ったAは半ば道場破りのように気合を入れて障子に手をかけるのだった。

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