【忍たま】あこがれ 弐

授業後の雨 1 ページ44

『う、わっ！』



山での実技の授業を終えて学園へ戻ろうとした時、見計らったように雨が降り出した。
小降りのうちに急いで戻ろうと、兵助、勘右衛門の後ろを走っていると徐々に雨粒が大きくなり勢いを増し、泥濘に脚を取られたAは派手な音を立てて転んだ。



勘「派手に転んだなぁ」

兵「でも、顔から転ばなくて良かったよ」



前を走っていた二人がAが転んだのに気付き、立たせるために手を差し伸べる。
「も、申し訳ないです……」と言いながらその手を握ると、ぐんと引っ張られる。



『「「うわぁっ！」」』



立ち上がったAも、それを手伝った兵助と勘右衛門も泥濘で踏ん張りが効かず地面へと三人まとめて倒れ込む。



『ちゃんと起こしてよー！』

兵「ご、ごめん……」

勘「Aが思ったより重くて……」

『……勘ちゃんっ！』



そのまま言い合っていると、帰りが遅いのを気にしていたらしい木下が見回りに来た。
転んで泥だらけになっている教え子三人を見ると呆れたような目をする。



木「お前達の仲が良い事は、充分に分かった。だが、五年生にもなって泥遊びとは……はぁ。」

兵「泥遊びではありません！脚を取られて、三人まとめて転んだだけですっ！」

勘「それもこれも、Aが重いのがいけないんですよ〜」

『あっ、またそういう事言う！先生、どう思いますか！？』



三人仲良く顔に泥をつけて立ち上がり抗議してくるのを溜息をつきながら、だが親のような気持ちで受け止める。



木「本当に、仲の良いことだ。……しかし勘右衛門は親しき仲にも礼儀あり、という言葉を理解すべきだと思うな。」

『……その言い方だと、先生も私が重いのを認めたみたいに聞こえるのですけど。』

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