個性的な彼ら 2 ページ24
学園に戻っても尚、自慢話が止まらない滝夜叉丸にうんざりしたAは「美しさを保ちたいなら、さっさと湯船に浸かって土汚れを落としておいで」となんとか中断させた。
八「おっ、委員会終わりか?」
『うん、お腹空いたぁ』
八「あちこち汚れて大変だなぁ。みんなに言って待ってるから、先に風呂行ってこいよ。」
『えっ、どうしたの?今日は優しいね!』
八「そこは"いつも"って言うところだろ!」
八左ヱ門の気遣いに甘え、くの一教室に向かう。
「疲れた、お腹空いた」と気が散っていたせいか。
ドスンッ
『う〜…痛たたた。』
喜八郎の掘った蛸壺にうっかり落ちてしまった。
いつもなら懐に苦無を隠し持っているが、今は着替えの入った包みだけ。
渾身の出来なのか、やけに空が遠く見えてとても腕力だけでは登れそうにない。
綾「大成功〜って、おやまぁ…。珍しい人が落ちましたね。」
『完全に油断してた…。苦無も縄も、何も持ってない…』
綾「体育委員会ご自慢の馬鹿力でどうぞ登って来てください。」
『ご覧下さい、体力は有り余っているのに筋肉のない細腕を。』
綾「おやまぁ」
結局、喜八郎が持ち歩いていた縄梯子を降ろしてくれた。
ようやく地上へ顔を出すと、手を掴まれそのままぐんと引っ張り上げられた。
『ありがとう、意外と腕力あるんだね。』
綾「まぁ、毎日蛸壺掘ってますから。」
改めて、上から蛸壺を覗くとかなり底が遠く見えた。
日が沈みきっていたら見つけられないまま朝を迎えたかもしれない。
『いつにも増して出来のいい蛸壺だね。油断していたとはいえ、全然気付けなかった。』
綾「善法寺先輩あたりが落ちると思ってましたが、これはこれで良いでしょう。」
『良くないわっ!』
結局、Aは足止めを食らってしまったわけで。
急いで入浴を済ませて食堂へ向かうと他の五人は席に着いて礼儀正しく待っていたのだった。
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こまごまと。(プロフ) - 空桜さん» コメントありがとうございます!今後、この距離感をどうするか考えている最中ですがみなさんに楽しんでいただけるように頑張りますのでよろしくお願いします! (2019年9月16日 12時) (レス) id: 63e1c18fa8 (このIDを非表示/違反報告)
こまごまと。(プロフ) - 珠華煉〜アカネ〜さん» コメント返し遅くなり、すみません……そしてありがとうございます!本当はもっと色んな学年を出したいのですが、そう言っていただけると嬉しいです。今後もどうかよろしくお願いします! (2019年9月16日 12時) (レス) id: 63e1c18fa8 (このIDを非表示/違反報告)
空桜(プロフ) - 5年生のこの絶妙な距離感がいいですね!ベタな展開すぎないとこが面白いです (2019年9月16日 2時) (レス) id: e5333279ca (このIDを非表示/違反報告)
珠華煉〜アカネ〜(プロフ) - 初めまして!コメント失礼します、5年生が可愛くて面白くて大好きです!笑 更新、頑張って下さい! (2019年6月28日 11時) (レス) id: a1a8b0df3d (このIDを非表示/違反報告)
こまごまと。(プロフ) - ばるけっと。さん» コメントありがとうございます!ベッタベタの恋愛系を書くのが苦手なのでシュールな中に「おや?」というレベルで忍ばせてます(笑)ぜひ今後もよろしくお願いします! (2019年1月18日 1時) (レス) id: 63e1c18fa8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こまごまと。 | 作成日時:2019年1月3日 22時