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コルチカムの願い 【You'reside】 ページ3

少しづつ、青い色の葉っぱ達が散ってゆき

山の木々は、色づいてきていた。

「もう、夏も終わりだね」

「そうだな、」

「…肩は大丈夫?」

「…いいや」

この質問をして、''いいや''と返ってくるのはもう、何度目だろうか

聞いてはいけないのに。

それなのに、また、泳いでいる宗介が見たいと思って聞いてしまう

この質問の度、宗介はどう思ってるだろうか。

「…あ」

「どうした?A」

「いや、綺麗だなぁって」

ふと目にしたのは、視界いっぱいに咲く薄紅色の花。

「綺麗だな」

「ねえ、宗介しってる?」

「しらねぇ」

「じゃあ教えて進ぜよう」

「それ使い方間違ってるだろ」

「いーの!!…あのねこの花コルチカムって言うんだよ!」

「コルチカム?」

「うん!」

私の両親は花屋をやっていて、

小さな頃から、花についてをよく知っていた。

もちろん、こういった普通に咲く花も。

「綺麗な花弁でしょ?でもね、毒があるんだ」

「へぇ、そうなのか、綺麗な花には刺があるみたいなこと、言うもんな」

「そーそー!あとね、たしかに花言葉は…」

言いかけて止めた。

まるで、彼のことを指してるみたいで、嫌だった。

でも、彼は同情だなんて嫌うだろうか。

言うべきだろうか。

「…私の最良の日々は過ぎ去った。過ぎ去った夏を惜しむことからつけられた花言葉だよ」

「…まるで、俺みたいだな」

そんな彼の言葉に

私は黙って頷く。

「別にいいよ。俺は、あの日泳げて最高だった。…それだけで満足だ。」

それに、と彼は付け足す。

「今はお前がいる。」

「っ!!そんな言葉…どこで知ったの…」

「おまっ、ばかにすんな」

「してない!!」

顔に熱が集まっているのを知らないふりして、

「早く肩治るといいね!!!」

と吐き捨てて帰ってやった。

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設定タグ:山崎宗介 , Free! , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:ふぐあーと | 作成日時:2018年7月20日 17時

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