魔法のティーポットの中の君は。 (ページ13)

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｢うわ...お弁当忘れた｣

記憶を辿れば朝は魔法使いと名乗る君のせいで
仕事に遅れそうになった。

優太｢おっ、Aが弁当ないなんて
珍しいじゃん、｣

｢忘れたんですよ...｣

必殺。うるうる光線で奢ってもらう作戦。

優太｢おにぎり1個までならいいよ｣

｢岸くんには効かないかあ...｣

私のうるうる光線もやっと分かってきたのか。

優太｢Aはそいうことすぐにするから...｣

｢するからなんですか？｣

優太｢いや、褒めようと思ったけど
せっかち出たから取り消し｣

そう言った先輩を追いかけて...が
君が現れるまでのルーティーン。

廉｢先輩～、どこいくんですかぁ、
俺も置いてかないでくださいよお｣

女子みたいに話す君に少しイラッとして

｢なに？｣

そうきつく当たれば

廉｢ちょっとA先輩怖すぎません？
聞きたいことがあるんで、今いいですか？｣

優太｢あ、俺っ？｣

廉｢違います、A先輩です｣

悔しそうな顔をする岸くんだけど、
私はむしろ頼られて嬉しくなんかない。

むしろ、嫌な気配がもうすぐそこまで
迫ってる気がして。

｢岸くんも一緒じゃだめ？｣

そう、尋ねるけれど君は私の耳に囁いた。

廉｢A1人だけでええんやで？｣

背筋が凍ったのは君が魔法使いだからだろうか。

廉｢じゃあ、A先輩行きましょっ！｣

君が私の腕を強くひっぱって。

だけど、私は抵抗することを知らず

ただ、後ろを振り返るばかりだった。