隣のシンデレラ。 (ページ37)

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#37。ページ37

｢さぶｯ...｣

季節は冬。

大学に行く準備をしていると

ふと、目に入る窓ガラス。

その窓ガラスは曇っていた。

人差し指で綺麗に書く字。

『永瀬廉』。

思わず書いてしまうんだ。

｢あぁもうｯ!!｣

右手でその字を大雑把に消す。

そこだけ、外が見える窓には。

｢...廉？｣

見慣れた

アパートの壁に寄りかかっているのは...

見覚えのある顔。

見覚えのある背中。

廉だ。

玄関に置いてあったヒールのサンダルを

履いて、廉がいるところに向かう。

歪んだ視界。

｢...廉ｯ!!｣

だけど、そこには誰もいない。

360度見渡す。

お願い。会いたいよ。

夢でもいいから。

私は泣き虫なんだろうか。

廉のことになると泣いてしまう。

泣いてばかりだ。

必死になってアパートの周りを探す。

厳しい寒さの冬。

上着も着ないで、外に出てる私の肌は

寒さで凍りそうだった。

だけど、

そんなことよりも廉に会いたい。

｢...きゃっ｣

面倒くさがらないで
スニーカーでくればよかった。

｢見間違えか...｣

冷たい私の頬には温かい涙。

脱げたヒールのサンダルを拾おうとしたとき。

?｢その歳でも転ぶん？
あいかわらずやな、｣