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#33。 ページ33
｢...れんｯ！｣
大声で叫ぶからみんな私を見るけど、
私はそんなの気にならない。
｢廉?｣
目に入った見覚えのある背中。
｢廉ｯ！｣
ピタッと止まったその人は、
振り返って私を見る。
やっぱり廉だ。
だけど、
私の顔を見るなり
廉は足早に去っていく。
｢廉ｯ!まって｣
あと2メートル。
あと1メートル。
廉の背中に顔を埋める。
大好きな匂い。
｢行かないで...｣
血の味のする口を精一杯動かす。
廉｢ごめん...行かなきゃあかん。｣
｢..好き｣
｢大好きだから...｣
｢待ってるからｯ!!｣
｢あのアパートで待ってるから。｣
廉は私の手をほどくと、
廉｢じゃあね｣
そう言って去っていった。
｢...大好き｣
そう出た言葉は届かなかった。
痛いほど澄み切った青い空。
現実はドラマみたいに上手くは行かない。
せめて、私の感情に合わせて
雨でも降って欲しい。
ドラマや映画は上手くできすぎてる。
そう思うのは皮肉だろうか。
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作者名：ひよん | 作成日時：2018年11月1日 16時
