隣のシンデレラ。 (ページ31)

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それから廉は学校に来なくなった。

・

廉の席は、ぽっかりと空いていて。

・

みんなが帰ったあと、

廉の席に座ってみる。

机の中に何か入ってるのに

気がついて、出してみれば

『Unrequited love』と書かれた本。

この前の本だ。

｢...好き｣

ぼそっとでた独り言。

でも届くわけがない。

──────────ﾌﾟﾙﾙｯ

｢廉!?｣

廉かも知れない。と期待してる私だけど

画面にある文字は『紫耀』。

｢もしもし?｣

──あ、A？
永瀬廉って子知ってるよね？

永瀬廉って名前に敏感な私。

｢あたりまえじゃん、｣

今1番会いたいんだから。

──引っ越すんだって。北海道に。

｢...え？｣

私の脳みそは使えない。

目の前が真っ白になって。

そんな私を紫耀が助けてくれた。

──今、学校の校門の前に車で
待ってるから。行くなら来て。

返事はせずに、席をたって

階段で降りる。

──引っ越すんだって。

引っ越す？

なんで。言ってくれなかったの。

頭はそんなことでいっぱいになって。

校門に着けば

｢ありがとう｣とだけ言って

紫耀の真っ赤な車に乗り込む。

私はただ真っ直ぐ前を向いて、

廉がまだ空港にいることを

願うばかりだった。