Episode 4 ページ6
絶対今のお祖父さんに会ってはいけない。心の中でそう警報が鳴り響いた
言い訳を考えている途中､銀行の扉の前で動いている物が目に入る
よく見ると､何かのクチバシが寝転がる浮浪者の帽子の鍔を掴んで引っ張っていた
アーロ？アーロなのかも…
「本当に君は…」
「…失礼､急いでるんで」
「…あっ…!!まってくれ…！」
ニュートがコートの裾を掴む前にAは銀行に入っていき､それに引っ張られるようにニュートも銀行の中へと入って行った
───────
─────
───
Aは周囲を事細かく細部まで観察した
どこかに必ずいるはず､しかし銀行となるとアローも窃盗の手が進むだろう───
「何かお困りですか？お客様」
銀行員がAに声をかけた
「あぁあ…いやちょっと､まってます…」
Aは銀行員の目から逃れるように近くのベンチに座った
「あぁ…どうしよう…」
「Aか？また会えて嬉しいぜ」
Aは隣に座っていた人物を見ると目を皿のように丸くした
陽気に話しかけて来たのはジェイコブだった。ジェイコブは緊張がほぐれたようにふーっと息を吐くと笑顔でこちらを向いた
「Aも銀行に来る予定だったのか!!すごい偶然だ…」
「そ､そう…えっと､ジェイコブはなんで銀行に？」
そう聞くとジェイコブは鼻をふくらませ､自慢げに自身のトランクを開けた
開けた途端パンの香ばしい香りが鼻を通る。
トランクの中には沢山の菓子パンが詰められていた。
メロンパンにクロワッサン､ドーナツもあって種類は多種多様だ
ジェイコブおじさんが昔自分のお店のパンを私に食べさせてくれていたのを思い出し､少し涙腺が緩む
きっとジェイコブおじさんはお店を開業するにあたって銀行に相談にきたのだろう
「とっても美味しそう…」
「よかったら､ひとつ食べてくれねぇか？美味しくなかったら吐き出してくれ…」
「え､いいの？じゃあひとつ頂きます…」
美味しくないわけが無い。そう思いながらクロワッサンをひとつかじった
外はサクッとしていて､中はふわふわでしっとりとバターの甘い味がする
「美味いか？」
口に詰め込みすぎて感想を言えず､屈託のない笑顔で親指を立てるとジェイコブは感激したように目頭を抑えた
「そんな美味そうに食ってもらえたら俺…」
間もなく､私の隣にまた人が座った
「待ってくれ…君に聞きたいことが…」
息を切らすニュートを見てAはその喉を詰まらせそうになる
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朱里(プロフ) - めちゃめちゃおもろいです！いつまでも更新を待ってます！！ (2月19日 16時) (
レス) @page11 id: 88ac2833a9 (このIDを非表示/違反報告)
pino - 面白い…！気長に更新待ってます！ (10月23日 19時) (レス) @page11 id: 5f86dc0acf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遊子 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/b2feacb2cf1/
作成日時：2023年10月10日 20時
