薄暗い世界の先は捻れた世界【ツイステ】 (ページ3)

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第1話　こんにちは。「新入生」です。ページ3

馬車に乗り、目が覚めたらいたのはクソ狭い箱の中。
しかも暗くて何も見えない。

…これはまさか、「誘拐」というものなのでは？

となると非常にまずい。一刻も早く出なくては。

しかし、こんな狭っ苦しい箱の中で身動きなんて取れない。
一緒に入っているファイアボルトがあるせいで余計に狭い。
菷の先端が足に刺さってチクチクするし。
狭すぎて杖すら取り出せない。
つまり詰み。
絶望。

???「この葢重たいんだゾ。こえなったら奥の手だ！…ぶなぁ！」

そして目の前に広がったのは青い炎。殺す気か！？

???「って、ギャーーーーーー！！お前、なんでもう起きてるんだ！？」

『なっ…狸が喋った！？』

炎の熱さに驚き思わず飛び起きた。その時に一番に目に入ったのは喋る狸。耳に青い炎がついてるあたり……コイツが燃やした犯人か。マジ許すまじ。

グリム「違ーーーう！！オレ様は狸じゃねぇ！」

『じゃあ猫で』

グリム「オレ様は！グリム様なんだぞ！…まぁいい。そこのニンゲン！服を寄越せ！」

目の前の人語を操る珍獣はグリムというらしい。

…この珍獣は、私の身ぐるみを剥がそうと考えているのか？いくら獣といえど、レディから服を奪おう何ぞ許せん。

今更だが、自分が来ている服が変わっていることに気付いた。
華やかであり派手すぎず、高級感漂うローブ。言っちゃあなんだが、ホグワーツのがボロく見える。ずっと着てたい、これ。

そんな私の気も知らず、グリムは「服を寄越せ！」と炎を吹き出す。

……こうなったら逃げるしかない！

ーーー
ーー
ー

行き着いた先は恐らく図書室。ここで暫く潜伏でもするかと思った矢先、

グリム「俺様を舐めるなよ！」

グリム登場。未だに私の身ぐるみを剥がそうとしている。何なんだコイツは。

どれだけ逃げても逃げるだけ無駄かもしれない。
けど、優しい私はこんな小さな魔獣に攻撃なんてする気は無い。
さて、どうしたものか。

???「あぁ、やっと見つけました。あなた、今年の新入生ですね」

そう言いながら、グリムの背後から現れたのはかなりインパクトのある見た目をした男。

『あっ…』

「新入生」というキーワードで、我に返った。

既にホグワーツの生徒である私が、他校の新入生になっているこの状況。

めちゃくちゃまずい。