岩を斬る ページ10
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それから月日はあっという間に過ぎた。
「もう、お前たちに教えることは無い」
狭霧山に来て一年後、突然そう言われた。
「今からお前たち次第だ。お前たちが、儂の教えたことを昇華できるかどうか」
鱗滝は二人を今まで踏み入れたことの無かった狭霧山の奥へと連れていった。
その先には、大きな岩があった。
「この岩を斬れたら、最終選別へ行くことを許可する。ここから少し先に、同じような岩がある。炭治郎はこの岩を、Aはそれを斬ること」
(…岩って…斬るものだっけ?刀が折れる…)
炭治郎はそう思った。
Aも同じことを考えているらしく、刀を不安げに見つめていた。
鱗滝はそのまま霧の中へと消えていった。
「鱗滝さん!!あのっ…これ!鱗滝さん!!」
炭治郎が呼び止めようとしたがそれに答えることはしなかった。
___鱗滝さんはそれから何も、教えてくれなくなった。
二人は、それぞれの岩に何度も斬りかかった。手のひらがボロボロだ。
炭治郎は、鱗滝に習ったことを毎日繰り返した。息止めや柔軟など基本的なことでも、全て。
ただ、半年たっても岩は斬れなかった。Aはひびを入れることはできたが、斬るには程遠かった。
炭治郎たちは焦る。
(鍛錬が足りない。まだ鍛錬が足りないんだ。もっとやらないと!もっと、もっと…!)
炭治郎はそう思って鍛錬をしても、岩は斬れない。
(ああ、このまま一生この調子なんだろうか?だめなのかな?禰豆子は…死ぬのか?あのまま眠って、起きないのか?)
どんどん悲観的になっていく。
(わーっ!!負けそう、挫けそう!!)
「頑張れ俺!頑張れーつ!!」
ガン、ガンと頭を岩に叩きつけた。
「うるさい!!」
不意に岩の上から声がした。
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火華(プロフ) - コメントありがとうございますっ!! (2020年8月8日 17時) (レス) id: fd2412c62f (このIDを非表示/違反報告)
y(プロフ) - 面白いのでこれからも頑張ってください (2020年5月30日 10時) (レス) id: d5bc66432d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:火華 x他2人 | 作成日時:2020年5月30日 1時