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氷の呼吸 ページ9

Aが家に来て半年がたとうとしていた。



毎日山下り、山下り。



山を何度も下っていくうちに随分と罠を避けられるようになったが、罠の難易度はどんどん上がる。



そう、飛んでくるのが石ではなく短剣であったり、落とし穴の下に短剣がたっていたり。二人は死ぬんじゃないかと、何度も思った。



刀を持って山を下ると、本当にこれが邪魔で、二人とも罠に引っかかりまくってしまう。



そして毎日の素振り。一日千回と決まっているのに、いつも五百回は追加されていた。



そして最初に、 刀は折れやすいと言われていた。



縦の力には強いが、横の力には弱い。もし刀の破損、つまり刀を折ったりしたらだ。お前らの骨もおるからなと、鱗滝に低めに脅される。



そして、刀を振る時には力を真っ直ぐに乗せること。刃の向き、刀を振る時に込める力は同じでなければならない。



そして転がし祭り。受身を取る練習だ。



炭治郎とAは鱗滝を斬るつもりでかかり、対して鱗滝は素手。



なのに馬鹿みたいに強く、二人は気づくと地面に転がる始末だ。



(…けど、Aには本当に驚かされるな)



素振りをしながら炭治郎は思った。



Aは一ヶ月分、炭治郎のほうが鍛錬をしたのにもはや炭治郎以上に罠を避けるようになるし、刀を持っての山下りにもすぐに慣れ、炭治郎よりはるかに、転がし祭りの時の怪我が少ない。



炭治郎がどうしてそんなに上手くいくのか、と聞くと決まって、



「うーん、私もよく分からないけど、なんか肺がググーッてなって、体が思いのままに動くの」



と言う。



でも、呼吸法と型のようなものを習った時はうまくいっていないようだった。



形も腹に入る力も手本通りなのに、どうも上手くいかないみたいだった。



鱗滝は水の呼吸がAの体に合っていないんじゃないかと言った。



「自分の中で一番動きやすく、力の入る形になってみろ」



と鱗滝はAに言った。



それからAの、山を下る姿を見ていなかった。



ずっと自分に合う形を探しているみたいだった。



ある日、炭治郎が山下りから戻るとAが刀を振っているのを見た。



(…俺の習った型は滑らかに動くものだった。でも、Aの型は)



___鋭く美しく動いていた。



Aはその呼吸を氷の呼吸と呼ぶことにしていた。



鱗滝は自身で我流の呼吸を編み出したことにひどく驚いているようだった。

岩を斬る→←認めてもらうため



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火華(プロフ) - コメントありがとうございますっ!! (2020年8月8日 17時) (レス) id: fd2412c62f (このIDを非表示/違反報告)
y(プロフ) - 面白いのでこれからも頑張ってください (2020年5月30日 10時) (レス) id: d5bc66432d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:火華 x他2人 | 作成日時:2020年5月30日 1時

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