検索窓
今日:17 hit、昨日:14 hit、合計:83,569 hit

強いのは ページ34

Aが炭治郎達の方へ行くと、禰豆子が座って寝ていた。



(禰豆子ちゃん、炭治郎と一緒に戦ったのかな?傷がある…確か、鱗滝さんが暗示をかけたんだっけ…)



「体力の回復…」



Aは禰豆子の髪を撫でた。



(私たちが人間に戻してあげるから。ごめんね…何も聞き出せなくて。不甲斐ないなぁ私…)



その時、炭治郎がこちらへ走ってきた。



「A、禰豆子!」



女の人は塀にもたれ、相変わらず気を失っている。よかった、みんな生きてる…



「炭治郎、人間に治す方法は…」



Aは聞いた。



「聞き出せなかった…Aは…」



「私も…ごめん、炭治郎…」



(鬼舞辻無惨。お父さんの仇、禰豆子ちゃんの、炭治郎の仇____)



「……」



和巳は放心状態だった。婚約者を失ったんだから…



…鬼舞辻無惨。



鬼舞辻無惨、鬼舞辻無惨、鬼舞辻無惨。



Aの頭の中で、その名が何度も響き渡る。



(お父さんは、死んだ。鬼舞辻無惨に殺されて…)



失った。鬼舞辻無惨のせいで。お父さんも、炭治郎の家族も___



失って___



「大丈夫ですか?」




炭治郎がしゃがんで、和巳にそう言った時、Aははっと我に返った。



「…婚約者を失って、大丈夫なわけないだろ」



(そうだ。和巳さんも、失った。…それも、鬼舞辻無惨のせい____)



一体何人もの人を苦しめれば、気が済むの?



今Aの頭の中は鬼舞辻無惨への怒りでいっぱいだった。



そんな中、炭治郎は口を開き、和巳に言った。



「…失っても失っても、生きていくしかないです」



(!!)



和巳に言っているのに、まるで自分に向かって言っているようだとAは思った____



「どれだけ打ちのめされようと」



「…!!」



…いつだったか、Aのことを炭治郎は強いと言った。



(…そんな訳なかった。私は失って、打ちのめされて途方に暮れていたのに…)



炭治郎は、生きていくしかないんだと、言っている。



和巳は炭治郎の服を掴んだ。



「お前に何がわかるんだ!お前みたいな子供に!!」



「…っ!」



(和巳さん。そんなふうに言わないで。炭治郎は……)



「…和巳さん、仇はとります」



Aは口を開いた。



「生きていくしかないって、私も、今言われて気づいた…生きていくしかないんです。この体に、明日が来る限りは…」



そうして、Aは微笑んだ。でも、Aは涙を必死に堪えていた。

分かってくれた→←輝哉からの手紙



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (45 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
83人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

火華(プロフ) - コメントありがとうございますっ!! (2020年8月8日 17時) (レス) id: fd2412c62f (このIDを非表示/違反報告)
y(プロフ) - 面白いのでこれからも頑張ってください (2020年5月30日 10時) (レス) id: d5bc66432d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:火華 x他2人 | 作成日時:2020年5月30日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。