強いのは ページ34
Aが炭治郎達の方へ行くと、禰豆子が座って寝ていた。
(禰豆子ちゃん、炭治郎と一緒に戦ったのかな?傷がある…確か、鱗滝さんが暗示をかけたんだっけ…)
「体力の回復…」
Aは禰豆子の髪を撫でた。
(私たちが人間に戻してあげるから。ごめんね…何も聞き出せなくて。不甲斐ないなぁ私…)
その時、炭治郎がこちらへ走ってきた。
「A、禰豆子!」
女の人は塀にもたれ、相変わらず気を失っている。よかった、みんな生きてる…
「炭治郎、人間に治す方法は…」
Aは聞いた。
「聞き出せなかった…Aは…」
「私も…ごめん、炭治郎…」
(鬼舞辻無惨。お父さんの仇、禰豆子ちゃんの、炭治郎の仇____)
「……」
和巳は放心状態だった。婚約者を失ったんだから…
…鬼舞辻無惨。
鬼舞辻無惨、鬼舞辻無惨、鬼舞辻無惨。
Aの頭の中で、その名が何度も響き渡る。
(お父さんは、死んだ。鬼舞辻無惨に殺されて…)
失った。鬼舞辻無惨のせいで。お父さんも、炭治郎の家族も___
失って___
「大丈夫ですか?」
炭治郎がしゃがんで、和巳にそう言った時、Aははっと我に返った。
「…婚約者を失って、大丈夫なわけないだろ」
(そうだ。和巳さんも、失った。…それも、鬼舞辻無惨のせい____)
一体何人もの人を苦しめれば、気が済むの?
今Aの頭の中は鬼舞辻無惨への怒りでいっぱいだった。
そんな中、炭治郎は口を開き、和巳に言った。
「…失っても失っても、生きていくしかないです」
(!!)
和巳に言っているのに、まるで自分に向かって言っているようだとAは思った____
「どれだけ打ちのめされようと」
「…!!」
…いつだったか、Aのことを炭治郎は強いと言った。
(…そんな訳なかった。私は失って、打ちのめされて途方に暮れていたのに…)
炭治郎は、生きていくしかないんだと、言っている。
和巳は炭治郎の服を掴んだ。
「お前に何がわかるんだ!お前みたいな子供に!!」
「…っ!」
(和巳さん。そんなふうに言わないで。炭治郎は……)
「…和巳さん、仇はとります」
Aは口を開いた。
「生きていくしかないって、私も、今言われて気づいた…生きていくしかないんです。この体に、明日が来る限りは…」
そうして、Aは微笑んだ。でも、Aは涙を必死に堪えていた。
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火華(プロフ) - コメントありがとうございますっ!! (2020年8月8日 17時) (レス) id: fd2412c62f (このIDを非表示/違反報告)
y(プロフ) - 面白いのでこれからも頑張ってください (2020年5月30日 10時) (レス) id: d5bc66432d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:火華 x他2人 | 作成日時:2020年5月30日 1時