とこしえに君を想ふ〈其の壱〉【鬼滅の刃】【竈門炭治郎】 (ページ17)

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逢いに行くからページ17

｢それじゃあ、行ってきます！｣

｢行ってきます、鱗滝さん！｣

二人は支度を整え、鱗滝に手を振った。

｢…あ、錆兎と真菰によろしく！｣

炭治郎が思い出したように言った。

｢あっ！お願いします！お礼言っておいてください！｣

二人はぐっと足に力を入れ、走り出した。

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最終選別が行われる、藤襲山。

辺りには藤の花が美しく咲き誇っている。

｢咲く時期じゃないのに…｣

Aが藤の花を見ながら言った。

(山の上の方から濁った黒色が漂ってる…)

藤の花に目を向けながら階段を昇り切ると二十ほどいる男女が険しい形相で集まっていた。いくつもの柱が立ち、その周りにはやはり藤の花が咲いている。

(全員、最終選別を受ける人たちなんだ…こんなに…)

そして中央に、不思議な色のする女の子たちが灯りを持って立っている。

｢皆さま、今宵は最終選別にお集まりくださってありがとうございます。この藤襲山には鬼殺の剣士様方が生け捕りにした鬼たちが閉じ込めてあり、外へ出ることはできません｣

黒髪の子が、また不思議な声で、表情を崩すことなくそう言った。

｢山の麓から中腹にかけて鬼共の嫌う藤の花が一年中、狂い咲いているからでございます｣

白髪の子が続けてそう言った。

(濁った色がしていたのは、鬼がいたせいか…)

｢しかしこの先には藤の花が咲いておりませんから、鬼がおります。この中で七日間生き抜く｣

黒髪の子がそう言うと、白髪の子が続けた。

｢それが最終選別の合格条件でございます｣

鬼がうじゃうじゃいる中で生きる…

｢……｣

(もしかしたら、今が炭治郎と話せる最後の時になってしまうかもしれない。だから、これだけは＿＿＿)

｢炭治郎、ありがとうね｣

隣にいる炭治郎にAは言った。

｢え？｣

｢あの日、炭治郎と会っていなかったら、私は今でも当てもなく、暗闇を永遠に走り続けていたかもしれないから｣

｢……｣

炭治郎は、しばらくAを見つめ、そしてにっこりと笑った。

｢大丈夫だよ。あの日、俺たちが出会う事がなかったとしても、いつか必ず、俺がAに逢いに行くから」

そして続けた。

「それに俺が居なくてもAは暗闇に灯りを灯していけたと思うよ。Aなら、大丈夫だよ｣

優しい、暖かい色がした…泣きたくなるような。