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全集中の呼吸 ページ13

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「うぅ…」



目を覚ますと、岩の上に狐の面をつけた少年が座っていた。



「やっと目が覚めたのか」



その声には聞き覚えがあった。



(…あっ!この声は意識が無くなる寸前に聞いた男の声と同じだ…!)



「えっ…あの!」



Aはさっきの少女のことを誰かに話したくてたまらなかった。



「さっきの子の技、見ましたか?!無駄な動きが少しもなくて…動きが速かった!!私も、なりたい!あんな風に___…!」



「お前が真菰に敗れたのはお前が鱗滝さんから教わったことを体に覚えさせていないからだ」



少年がバシリと言う。



「俺が見てやるから、鱗滝さんから教わったことを全て、体に叩き込め。死ぬほど鍛えてみろ」



少年の名は錆兎と言った。あの少女は真菰と言うらしい。



それから錆兎は、Aの悪い所を指摘してくれた。Aには我流だということもあり、癖が多かった。



「とにかく肺を大きくすることだ。血の巡りが良くなるように。体温が高くなると強くなれる」



(…どういうことだろう…)



わからなくなり、Aが聞いた。



「どうしたらできるかな?」



「言っただろう、死ぬほど鍛えろと。それ以外に道はない」



Aは、腕と足がもげそうな程、千切れそうな程刀を振った。



心臓や肺が、いつ破れてもおかしくない程、体を鍛えた。



それでも、真菰にはやっぱり勝てなかった。



…半年が経つまでは。



真菰はその日 真剣を持っていた。錆兎は見当たらなかった。



「今までよく頑張ったね」



「今日は勝つから!」



真正面からの勝負は難しくない。より速い方が勝つ。それだけだから。



勝負はすぐに決まった。



Aは真菰の死角になる横の方へ飛び出し、刀を振った。



真菰の面がパカッと割れた。この日、Aの刀が先に真菰に届いた。



「…うん。もうAなら大丈夫だね。勝ってね、A。Aなら、どんな奴にも、きっと勝てるから」



満足したように、でも悲しそうに真菰は笑った。



「今までの鍛錬をよく堪えた」



錆兎がいつの間にかそこにいた。真っ二つに割れた狐の面を持って、笑っていた。錆兎の顔を見るのは初めてだった。



そして、気づくと二人とも消えていて、



「! !」



真菰の面を斬ったはずのAの刀は、



ズシン…



岩を、真横に、斬っていた。

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火華(プロフ) - コメントありがとうございますっ!! (2020年8月8日 17時) (レス) id: fd2412c62f (このIDを非表示/違反報告)
y(プロフ) - 面白いのでこれからも頑張ってください (2020年5月30日 10時) (レス) id: d5bc66432d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:火華 x他2人 | 作成日時:2020年5月30日 1時

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