悲劇の始まり ページ2
何なの?何が起きたの?
霧に包まれた山は今のAにとっては十分の気味の悪さだった。
「お母さん…!」
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事の始まりは、昨夜。
戸の隙間から見える空をAは見上げていた。
「もうすぐ朝…」
あと十分もしたら太陽の光がこの暗闇を照らすだろう。空をよく見ればわかる。
Aは昔から目が良かった。百里、千里先でもきっと見ることができるほどに。
そして、人の体から発する“色”を注意深く見つめると相手が何を考えているかもわかった。
「早く元気になってね、お母さん…」
お母さんは不治の病にかかっていた。Aは看病をしていた。
お父さんは事故で、もう居ない。
暮らしの費用は、農業をやって何とか手に入れている。農業とお母さんの看病はいつもAがやっていた。
その事でお母さん、いつも謝るんだよねぇ…
一番辛いのは、病気にかかっている方なのに。
裕福な暮らしではなくても、毎日忙しくても、お母さんが生きているだけで十分だから…
お母さんはだいぶ落ち着いた呼吸ですやすやと眠っている。
いい夢、見ているといいな…せめて夢の中だけでも幸せでいて欲し___…
「? !」
(この黒い色…お父さんが死んだ時と同じ、真っ黒な…残酷な色…)
ドゴッ
突然、大きい大きい男が戸を蹴って入ってきた。
並の人間の大きさの比じゃない。肌は血色感のない青白で、じゅるりと涎を垂らしている。
「なっ…何の用ですか?!」
その男はその質問には答えなかった。
「美味そうだ…女と…女。女が二人!!俺の好物は女なんだ…」
そう言うとこちらに向かって走ってきた。
Aは何とか交わしたが、その男の先がお母さんだと気づくのに遅れてしまった。
「お母さん!!」
お母さんの血に染まった紅い蓮華が、咲き誇った。
「いやあああ!!!お母さん!!!」
男がこちらにも向かって…!!
いやだ!!!お母さん!!
Aは無我夢中でそばにあった鍋を引っつかみ、男の頭目掛けて投げた。
…と同時に男の長い爪が私の腕に深く引っ掻いた。
ゴンッ!
鈍い音がして、ドサッと男が白目で倒れ込んだ。気絶しているようだ。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……痛…ッ…お母さん!!」
お母さんは、息絶えていた。
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火華(プロフ) - コメントありがとうございますっ!! (2020年8月8日 17時) (レス) id: fd2412c62f (このIDを非表示/違反報告)
y(プロフ) - 面白いのでこれからも頑張ってください (2020年5月30日 10時) (レス) id: d5bc66432d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:火華 x他2人 | 作成日時:2020年5月30日 1時