検索窓
今日:22 hit、昨日:14 hit、合計:83,574 hit

悲劇の始まり ページ2

何なの?何が起きたの?



霧に包まれた山は今のAにとっては十分の気味の悪さだった。



「お母さん…!」


━━━━━━━━━━━━━━━


事の始まりは、昨夜。



戸の隙間から見える空をAは見上げていた。



「もうすぐ朝…」



あと十分もしたら太陽の光がこの暗闇を照らすだろう。空をよく見ればわかる。



Aは昔から目が良かった。百里、千里先でもきっと見ることができるほどに。



そして、人の体から発する“色”を注意深く見つめると相手が何を考えているかもわかった。



「早く元気になってね、お母さん…」



お母さんは不治の病にかかっていた。Aは看病をしていた。



お父さんは事故で、もう居ない。



暮らしの費用は、農業をやって何とか手に入れている。農業とお母さんの看病はいつもAがやっていた。



その事でお母さん、いつも謝るんだよねぇ…



一番辛いのは、病気にかかっている方なのに。



裕福な暮らしではなくても、毎日忙しくても、お母さんが生きているだけで十分だから…



お母さんはだいぶ落ち着いた呼吸ですやすやと眠っている。



いい夢、見ているといいな…せめて夢の中だけでも幸せでいて欲し___…



「? !」



(この黒い色…お父さんが死んだ時と同じ、真っ黒な…残酷な色…)



ドゴッ



突然、大きい大きい男が戸を蹴って入ってきた。



並の人間の大きさの比じゃない。肌は血色感のない青白で、じゅるりと涎を垂らしている。



「なっ…何の用ですか?!」



その男はその質問には答えなかった。



「美味そうだ…女と…女。女が二人!!俺の好物は女なんだ…」



そう言うとこちらに向かって走ってきた。



Aは何とか交わしたが、その男の先がお母さんだと気づくのに遅れてしまった。



「お母さん!!」



お母さんの血に染まった紅い蓮華が、咲き誇った。



「いやあああ!!!お母さん!!!」



男がこちらにも向かって…!!



いやだ!!!お母さん!!



Aは無我夢中でそばにあった鍋を引っつかみ、男の頭目掛けて投げた。



…と同時に男の長い爪が私の腕に深く引っ掻いた。



ゴンッ!



鈍い音がして、ドサッと男が白目で倒れ込んだ。気絶しているようだ。



「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……痛…ッ…お母さん!!」



お母さんは、息絶えていた。

泣いては駄目→←幸せが壊れる時にはいつも



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (45 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
83人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

火華(プロフ) - コメントありがとうございますっ!! (2020年8月8日 17時) (レス) id: fd2412c62f (このIDを非表示/違反報告)
y(プロフ) - 面白いのでこれからも頑張ってください (2020年5月30日 10時) (レス) id: d5bc66432d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:火華 x他2人 | 作成日時:2020年5月30日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。