【A3!】ペテンを纏った4月

#9 ページ9

　
　
　
卯木さんとは何度か仕事もさせてもらっていたし、
お互いに干渉しあうこともなくいい距離感の先輩という印象だった。


でも改めてこう二人きりになるとどうしたらいいかわからないのもので。
迷っていると卯木さんの方から話しかけてくれた。



「まさかAさんと茅ヶ崎が仲良しだったとはね。」



『仲良しといいますか、ほんと付き合いが長いだけで。大学からの仲が就職した後も続いてるだけですよ』

「それを仲良しっていうんじゃない？昔からあんな感じ？」





『ゲーマーなのは同じですね。あそこまで取り繕ってるのは社会人になってからだと思います。初対面の人にいい顔するのとかは変わらないですけど。』




「へえ。そうなんだ。」



『なので寮生活始めたって聞いた時はすごく驚きました。同室で過ごすなんて大変じゃありませんか？』









「実は、茅ヶ崎脅されてに朝から晩までゲームに付き合わされたりして寝るのも許してもえないから…悩んでるんだよね。」



あいつ何やってるの……



『え、そうなんですか？会社の先輩相手にもそんな仕打ちを…』

「なんてね。」

『へ？』




｢って言うのは冗談で、お互い譲歩しながら、結構快適に上手く生活できてるよ｣

『そ、そうですか…。』





なんなんだこの人、本気で信じちゃうところだったじゃないですか。






｢ふふ。悩んでるように見えた？｣



『えっと、茅ヶ崎だったら有り得るかもしれないなとは思いました。まあさすがに先輩相手にそんなことはしないですよね。』




｢さぁ、どうかな？｣




ぐぬぬ……、相変わらず読めない人だな。

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