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『もしかしてだけど、葛葉くんも人外仲間?』
クズハ「そーっすね。魔界出身の吸血鬼です。」
『だからその耳と牙か。』
一応羽もあります。なんて言いながら真っ赤な羽をみせてくれる。吸血鬼は周りにいなかったから新鮮だ。
わいわいそんな話をしていると、だるまくんが静かにベランダへと出ていくのが見えた。普段騒がしい人だから、黙っていると本当に気配がなくなる。
リツキ「あれ、Aさんどこ行くと?」
『ちょっと外の空気吸ってくるね。これ、あとは煮詰めるだけだから任せていいかな?』
リツキ「お任せください!」
『ありがとう。』
水の入ったペットボトルを2本貰い、ベランダに出る。夜の冷たい空気が少し肌寒い。
だるまくんは私に気づくと少しだけ飲んだであろうお酒のせいか、この肌寒さのせいかほんのりと赤くなった頬を上げ、にっこりと笑っていた。
『お隣お邪魔するね。』
ダルマ「どーぞどーぞ。美人さんに来て貰えるなんて、光栄ですわ。」
『男前さんのお隣さんにいけるなんて光栄だなぁ。』
お水を渡すと、代わりにどうぞなんて言いながら羽織っていたパーカーを私に羽織らせてくれた。ダボッとするパーカーは、だるまくんとの体格差が良くわかる。
柔軟剤の香りと、少しだけする火薬の匂い。
ダルマ「歓迎会楽しめてます?Aさんの歓迎会なのに、アイツら馬鹿騒ぎしとるから。」
『勿論だよ。変に気を使われなくて、逆に助かったかな。』
ダルマ「Aさんが楽しめてるなら良かったっす。」
大きく口を開け笑うだるまくん。
にしても、敬語とさん付けはちょっと距離を感じる。
そんな思いが顔に出ていたのか、だるまくんは私の顔を覗き込み心配そうに眉を下げた。
ダルマ「...なんかありました、Aさん?」
『んー...敬語とさん付け無くしてよ、だるまくん。』
ダルマ「敬語とさん付けっすか...?」
『うん、ちょっと距離感じるなぁ。だるまくんは私のボスであり、家族なんでしょ。』
だからお願い。なんて言いながら目をじっと見ると、ぱちぱちと瞬きをしたあとまたニンマリと笑顔を浮かべるだるまくん。
ダルマ「...おう!改めてよろしく、A!」
『うん、よろしくね。だるまくん。』
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作者名:もみじ | 作成日時:2023年7月28日 1時