恋はきっと頑張れない【九条天】

59日後には伝えるよ 【四葉環】 ページ19

『環くん……？』

ベランダ、心地よい風が髪を揺らすのを抑えながら、視界に映る彼に声をかけた

「ん、みーちゃん、みんなにはなし、終わったの？」

くるりと振り返って何処か幼気な表情を私に向けた環くん

『終わった__わけじゃないけど、環くんの番だから』

カーディガンの裾を力強く握り締めながら伝えると、先程よりも［よくわからない］といった顔をした

「どゆこと？」

『私なりの決意だから、聞いてくれるかな？』

環くんは頷いた

その様子に、断られるのではないか、という不安を持っていた胸の内は漸くおさまった

『環くんは、大切な人のためなら、

いくらでも強くなれる子だよ』

妹さんのために

壮五さんのために

自分なりに頑張ったはずの環くんは、なんども躓いて、

でもそれ相応に、成長してきたんだ

それを、ちゃんと私は知ってる

「？」

『わたしもね、大切な人のこと、いっつも考えてたんだ、

何してるかな

何考えてるかな

どうでもいいことばっかり

環くんもあるでしょ？』

胸に手をそっと当てて目を閉じる

先で、環くんが頷くのがわかった

「……うん」

『その人のために頑張りたい、っておもっても、失敗しちゃうことだってある

でも

それを大切な人に伝えなきゃ、その人は自分をみてくれない

見つけてくれないんだって、わたし分かったの

だから』




手を差し出す



『頑張ろう、大切な人に、見つけてもらうために』




自然と互いに涙を流していた




「……うん！」









今度はあなたに

見つけてほしい

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