涙が流れない理由【ルルス】 (ページ16)

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十五話ページ16

彼奴を一番分かっているのは俺な筈だ

なのに、彼奴が何処に行ったのか、どうして消えたのかが分からない

ル「A…………」

彼奴は幼い頃からアルケミアにいたので、行き先は余りレパートリーが無いはずだ

その中で行ける場所……

！！

ル「おい！此処から一番近い村に行ってくれ！」

衛兵に叫ぶと難しい顔をしはじめたルルス

いろは「あの、ルルス、どうしたんですか？」

ル「彼奴は、元々家族と住んでいた家に行ったんだ」

彼処には、ユメクイがうじゃうじゃと居るというのに

Aはそれを知らない

ル「…………………………A…」

______

『散歩、しよっかな………』

家の中の窓から緑を覗く

ここは空気も澄んでいて過ごしやすい

ドアを開けて鍵をかけて

緑の中へと歩いていった

______

ル「此処だ………」

いろは「ログハウス……？」

ル「森の中だからな、だが、Aは本当にこの家が大好きだった

本人は覚えてないだろうがな」

【るるす！！みて！私のお家、すてきでしょ！】

【おれの家のほうがおおきいぞ】

【るるすのお家とはまた違ったすてきなの！】

【だが、おれはAの家のほうがすてきだとおもうぞ】

【ほんと！？やったー！】

あの頃の無邪気なAを思い出し、笑みを溢す、

扉に近づきドアを開けようとすると、ガチャガチャと音がなるばかりで開かない

いろは「外出中でしょうか……？」

ル「だろうな、此処から近い村がある、恐らくそこだと思うが……」

いろは「行ってみましょう！
」

______

いろは「意外と活気のある村ですね……」

ル「そうだな、」

「村長！！ユメクイが出たんだ！Aねぇと会って、一緒にいたんだけど……

俺だけ逃してくれて……」

「なんだと！？Aがか！？」

いろは「あの！ユメクイは何処に！？」

「え？あ、此処から真っ直ぐ行って森に入れば、もう直ぐそこに……！」

ル「…………………………」

いろは「あ！ルルス！すみません、教えて下さり、有り難うございした」

ペコリと頭を下げてルルスの後を追っていったいろはの背中を見つめて小首を傾げる少年だった