No.4 討論という名のそれは ページ4
静まり返った街の、橋の下。
二人の人間の声が聞こえて来る。
うち一人はよく通った低い少女の声。
そして、もう一人は――。
「……何故あなたがあれほどの事件を
少しは分かった気がします」
「用は済んだか？」
聞く者に威圧感を与える声の持ち主――ステイン――は立ち上がろうとするが、少女は呼び止める。
「でも――」
「でも、何だ」
「あなたのような人間なら、
きっと
「……ハァ、
もう遅い」
「そんな事ありません」
「この手はもう
時間が消し去ることのできない
だから俺はこの道を行く。
社会を正すために」
少女は一瞬目を反らしそうになったものの、深呼吸をして続けた。
「人生はいくらだってやり直せます。
あなただって、まだ終わった訳じゃない。
あきらめたら駄目」
必死そうな少女に、ステインは問いかける。
「……何故お前は俺にそんな事を言うんだ」
意外なひとことに、少女は口をつぐんだ。
そして、数秒後。
遠い目をして少女は言った。
「……私、見て来たんです、今まで。
たくさんの
悪に染まって心が朽ちていくのを。
私はただ、
それだけです」
「……面白いな。
まるで
ステインの口から思わず
「俺の人生だ、俺の自由にさせてもらう。
だが、お前の言葉――」
ステインは少女に向き直った。
「――俺の心に刻んでおくとしよう」
少女もつられて口角があがる。
「……それは良かった。
――さて、そろそろ夜明けなので。
すみません、勝手に連れて来てしまって」
「あぁ、構わない。
むしろ良かった」
少女は草むらを踏みしめてステインから離れていく。
ステインはそんな彼女を見送りながら別れの言葉を告げた。
「ありがとな、
少女は驚いたように立ち止まったが、またすぐに歩きはじめた。
朝の柔らかい光が、街をあたたかく包み込んでいる。
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暁(プロフ) - かぁびぃ(駄作者)さん» 丁寧なコメント、ありがとうございます!!更新スピードは遅いですが、たくさんの人に「面白い!」と思ってもらえるような話を作っていきたいと思っているので、応援よろしくお願いします。 (2017年11月4日 22時) (
レス) id: bb7017a714 (このIDを非表示/違反報告)
かぁびぃ(駄作者)(プロフ) - コメント失礼します。初めて貴作品を閲覧しましたが、本当に読みやすくて驚きました。キャラクターの心情が事細かに書かれていて、お話の世界に入り込むような気持ちになれました。寒い時期ですので、体調に気を付けながら頑張ってください！ (2017年11月4日 14時) (携帯から) (レス) id: 87e86307e6 (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - ご挨拶遅れてしまい、申し訳ありません。ご覧になって下さった方、お気に入り登録して下さった方、本当にありがどうございます。つたない文章ですが、よろしくお願いします。何か意見等ございましたら、遠慮なくどうぞ。 (2017年7月24日 21時) (レス) id: bb7017a714 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：暁 | 作成日時：2017年7月1日 6時
