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ようやく動けるようになった身体で触手を斬っていく。目を覚ましたのが最後だと言うことにAは自分に腹が立った。
自分がいる車両には家族連れが多かった。
きっと子供達との旅の思い出を作っていくことが楽しみなのだろう。
そんな人達の夢を奪う鬼を許す訳には行かない。
(この人達からは何も奪わせない。…あんたが死ぬまで食らいついてやるから)
Aは目の前に蠢く触手を鋭く睨みつける。
一瞬、触手の動きが止まるが構うことなくAに攻撃を仕掛けた。
Aは刀を構えた。
(何だ?…一瞬体が動かなくなった。…俺はコイツを知ってるのか?……いや、違う……。これは、あの方の記憶だ…)
魘夢の目の前には呼吸の構えをとった女性の鬼殺隊士。影のみしか確認できないが、無惨の記憶に深く刻まれているのは確かだ。
(あの方が追い詰められた瞬間か…?いや、あの方は耳に飾りを付けた剣士のみだったはず…!まさか、もうひとり居たのか…!あの方を追いこんだ、鬼狩りが……!!クソッ!そんなこと聞いていないぞ…!!)
────焦りが生じたのか魘夢は"ヒノカミ"が己の頸を斬るのを、止めることは出来なかった。
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作者名:アマネム | 作成日時:2023年10月14日 19時