音柱の継子 (ページ49)

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その服装はあの女性にまるっきりそっくりだった。

「なに、これ…」

Aは恐る恐る近づくと鏡から出てきた腕に引っ張られ

「いい加減起きて！！みんなが戦ってる！このままじゃ守りたいものも守れなくなる！また失ってしまうわ！」

「！！」

守りたい、もの─────────

「A？何かあった？大きな声が聞こえ……」

母親の目の前にいたのは、先程まで着ていた雪華模様の着物を羽織り、鬼殺隊の服、腰に日輪刀を携えた、Aだった。

「どうしたんだ、その格好は…学芸会か何かかい？」

「姉ちゃんかっけー！俺もそれ着たい！」

「……お姉ちゃん？」

──ああ、この姿をずっと見ていたい。

先ほどまで笑いあっていた家族の顔は、二度と見れないのだと分かっていたはずなのに。

このまま、夢の中にいれたら、どれほど幸せか。

「ごめん、行かなきゃ…」

Aは後ろを振り向く。
このまま見ていたら本当にずっとここに居たくなってしまうから。

「行くってどこへ？もう遅い時間だ。また明日に…」

「お父さん。……私、幸せだよ、今も昔も」

「っ！」

「だから………さようなら」

「っ、お姉ちゃん！！！」

Aは妹の声に振り向くこと無く歩を進める。

「姉ちゃん、いかないで！！まだ、まだここにいてよぉ…！」

弟がAを追いかけるように走る。もう少しで捕まえられそうな距離になった時、Aが飛んだ。

そして、ベランダの柵に足を乗せ

───またね。