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夢の中で ページ46

───Aが次に目を開けたのは街灯が照らす帰り道だった。
先程まで何をしていたのか思い出せないが視線を下げた時何かの箱を持っている事に気づいた。

開けると中には楽譜と茶色い瓢箪のような形のものに何やら硬い紐のようなものが張ってあるものだった。それを見て自分はヴァイオリンの稽古の帰りだと気づいた。


「…夢でも見てたのかな。……帰ろう」


何時もなら反省をしながら帰るのに今日は何をしていたのか思い出せない。
疲れていたのだろう、そんな日もあるさ。


──

───

────


「ただいまー」


「おかえりなさーい お姉ちゃん!」


「姉ちゃーん!」


玄関を開けると下の妹弟が元気に駆け寄ってきた。


「ゆり子、翔太郎、ただいま。いい子にしてた?」


「うん!あのね、今日ね、お母さんと一緒に夜ごはん作ったの!」


「おれもやったよ!おにぎり作ったんだ!」


「ええすごいじゃん!2人とも頑張ったね〜」


楽しそうに報告してくれ2人にAはうりうりと頭を撫ぜる。そうして3人は両親が待つ居間へと歩く。


「お姉ちゃん、今日のおけいこどうだった?」


「ん〜…それがお姉ちゃん思い出せないんだよね」


「えぇー!姉ちゃんの脳みそちぢんだんじゃない?」


「なんだとー?そんなこと言う悪い子はこうだ!」


きゃあきゃあ楽しそうに笑う2人にAもつられて笑顔になる。
とても幸せなのに、悲しくなるのは、涙が溢れそうになるのは何故なのだろうか。


心の蟠りが大きくなる。






列車の中、竈門炭治郎が1人夢から醒めた。周りを見れば全員寝ている。


炭「煉獄さん!善逸、伊之助!」


禰豆子の血気術で無事に覚醒した炭治郎はみんなに呼びかけるが起きる気配は無い。


禰「ムームー!」


起こしてくれた妹の声に振り向くと箱に体を預けて眠るAが目に入る。禰豆子が必死に揺さぶるが彼女も起きる気配は無い。

周りと違うとすれば、彼女の顔には涙が流れている。


炭「A…っ」

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作者名:アマネム | 作成日時:2023年10月14日 19時

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