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顔を真っ青にしてぷるぷる震えているいつもの善逸がそこにいた。
いや戻るんかい。
「善逸…?」
善「………こわかったよぉぉおおぉぉ!!うわあぁぁぁあん!Aちゃん大丈夫だったあああ?!!!ごめんねぇぇええ!!!でも君も悪いよ?!!そんな可愛い顔して困ってたら男がほっとくわけないもの〜〜!!!!自覚持ってよ〜〜!!!好きぃぃぃぃ」
少女に縋るように泣く少年。周りから見れば恋仲のように見えてくるだろう。
傍を通った老夫婦が" 若いわねえ "と朗らかに笑った。
「あの、善逸、声大きいっ恥ずかしいからやめてっ」
善「ボコボコにされるかと思ったよう!!俺めちゃくちゃ頑張ったよね?!!!もう吐きそうなくらい緊張した!!!!」
涙と鼻水で顔はぐちゃぐちゃだし、足はガックガク震えているしで、大変情けない姿を大衆の目の前に晒している彼にAは頭を抱えた。そして一緒にいる自分も恥ずかしい。
「善逸!善逸!助けてくれてありがとう!かっこよかったよ!!だからもうその情けない姿晒すのやめよっか!ね?!」
善「え!!!俺かっこよかった?!!ホント?!!」
「うん!それはもう柱の皆より!!」
善「そ、そうかな〜?でへへ///」
Aに縋るような姿勢からクネクネする動きに変えたが、まあこっちのほうがマシだろう。
善「あ、少し赤くなってる…」
「ん?ああすぐ治るよ。大丈夫大丈夫」
隊服の袖から見える手首が赤くなっていた。先程男達に掴まれたせいである。
善「女の子なんだから、大事にしてね」
「鬼殺隊にいる以上は怪我はつきものだし、仕方ないよ」
そういうAの頬には鬼によって昨日付けられた傷がまだ痛々しく残っていた。
善逸はその傷に手を這わせ
善「Aちゃんの可愛い顔に傷がつくのは胸が痛いよぉ……」
「お嫁さんに行くのは難しくなるかもね」
冗談じみたふうに言えば
善「その時は、俺がAちゃんを娶るよ。その傷ごと愛すると誓おう」
Aはさらに困惑した。
善逸って3人くらいいるのでは?と。
光速で入れ替わっているのでは?と。
何はともあれとりあえず──────────帰りたい。
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作者名:アマネム | 作成日時:2023年10月14日 19時