我妻善逸という男 ページ35
今回の鬼はだいぶ厄介だった。
霧に紛れて攻撃をしかける血気術の持ち主で元下弦の陸だと声を大にしていた。
「おいおい!逃げてるだけじゃあ俺は倒せないぜぇ?!」
「よく回る口だね!!そのまま舌噛みちぎって死なないかなあ!」
「すぐ治るんだよバァカ!!!」
「キィイーー!!! ムカつく!!!─音の呼吸 壱ノ型 轟!!!!!」
地面に刀をたたきつけ風を起こし霧を晴らす。視界が良くなり気配を辿りやすくなった。
どうやら鬼は上の方へ移動しているようだ。
「霧を晴らしたところで俺を見つけられ─」
「" 元 "下弦の鬼なら 正面突っ切って仕掛けてきなよ。強いんでしょ?」
無事に鬼を倒したAは道中にある藤の家紋の家で身体を休ませた。
(切り傷が酷いな…。あの霧全てが小さい刃だったとは…)
鎌鼬のようなぴりっとする痛みを感じたあの霧はなかなかに厄介だった。
元とはいえ下弦の陸との戦闘は簡単ではなかった。
(帰ったらしのぶさんに診てもらおう…)
ゆっくりと温泉に浸かり、暖かい布団で眠り、Aの任務は終了した。
「お嬢ちゃん1人ー?」
「俺たちと遊ばないかい?」
Aは困惑していた。
途中立ち寄った街で軽そうな男二人に絡まれていた。護身術はばっちりだがさすがに一般人に手を出すのは些か罪悪感があったのだ。
「暇じゃないので…それでは」
「ツレないねぇ。少しくらい、いいじゃないか」
「お兄さん達が色んな所に連れてってあげるよ〜?」
軽やかにAの手を取る男にぞわっと鳥肌が立った。今すぐにでも投げ飛ばしてやりたい衝動に駆られたがそんな事をしては鬼殺隊に傷が着く。
どうにか穏便にできないものか───。
「ちょぉぉぉぉぉおおと待ったァァァァァァ!!!」
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作者名:アマネム | 作成日時:2023年10月14日 19時