音柱の継子 (ページ25)

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おかえりページ25

─…、て…

声が聞こえる。

懐かしい声。

心が温まる声。

──A、目を覚まして

「お、かあ、さん…？」

──皆が待ってるのよ。貴方の大切な人達が

「お母さん…ッ」

──まだ、こっちに来てはダメ。

「私も、そっちに…！」

──ごめんなさい。貴女に沢山のものを背負わせすぎたわ

「いいの…！謝らないで、お母さんは悪くない！私が弱いだけなの！」

──お姉ちゃんは弱くないよ！だって私のお姉ちゃんだもん！

──姉ちゃんはまだ生きなきゃダメだよ！俺達の分まで長く！

「ゆり子…翔太郎…」

──A

俯くAの頭に乗る大きな掌。

「おとう、さん……っ」

──置いていってごめんな

「ううん…！私こそ、ごめんなさいっ」

──いいかい、A。……幸せになってくれ。お前は私達家族の希望なんだ

「！」

──この先もっと危険な目に遭うかもしれない。だけど、自分の弱さに呑まれてはいけないよ。

──貴女の周りには頼れるお友達がいるでしょう？皆の事を信じてあげなさい

──お姉ちゃんの笑顔私大好きなの！だからもっともーーっと笑ってよ！

──姉ちゃんは強い！だから、もっとたくさんの人を助けてあげて？姉ちゃんなら出来るよ！

Aを中心に家族は優しく彼女を包み込んだ。

──さあ、いっておいで。大丈夫だ。皆、心で繋がっているからね

布団から投げ出されている指先が、かすかに動く。

「行ってきます！！」