音柱の継子~3~ (ページ28)

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温泉と内緒話ページ28

先に甘露寺を戻らせたAは片付けを終わらせ、道を走っていると前方に見慣れた顔が。

そこには──

「？あ、玄弥」

玄「・・・・・・」

「うわ、顔赤…」

ブリキの人形のようにカチコチの玄弥がいた。
先程すれ違った女性が可愛すぎたのと目の前の同期の初めて見る軽装にどきまぎしている。

「玄弥〜？」

玄弥の方が背が高いので自然とAは見上げる形となる。

玄「・・・・・・ッ！」

「あ！玄弥！？」

思春期男子は顔から湯気を出し走っていった。

「…手と足一緒だった」

───

────

石段を降りた先にはしゃがみこむ甘露寺と同期の竈門炭治郎がいた。

「あれ？炭治郎だ」

炭「A……ァ"！」

「？」

Aを見たまま固まった炭治郎は突然動きだし彼女の元へ行くと自分の羽織を着せる。

「えっえっ、なになになに」

炭「…これを着ておいてくれ」

「わかった…？」

湯上りの火照った肌と浴衣の合わせ目から見えた鎖骨が思春期男子には目に毒だった。
(は？お前だけ何美味しい思いしてんだ？ふざけんなよころすぞ？)と黄色い何某(なにがし)の声が聞こえてくる炭治郎であった。

「そういえば蜜璃さんどうしたんですか？泣いてる？」

蜜「そうなのー！聞いてAちゃん！炭治郎君！私今そこで無視されたの〜挨拶したのに無視されたの〜！お風呂上がりのいい気分が全部台無し！！」

わぁ、と泣き出してしまった甘露寺を宥めるように炭治郎は

炭「もうすぐ晩御飯ができるみたいですよ。松茸ご飯だそうです」

蜜「え───！！ほんとォ！？？やったねAちゃん！松茸ご飯だって〜！」

「良かったですね〜^^」

蜜「うふふ〜早くご飯食べたいな〜♪ね〜！」

甘露寺はAと手を繋ぎながら宿への道を軽やかな足取りで歩いていった。

炭(…しっかりしろ炭治郎！俺は長男、我慢ができる男だ)

Aの風呂上がりの姿に一人悶々としたまま炭治郎は温泉へと向かった。