音柱の継子~3~ (ページ20)

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そして冒頭に戻る。

善「禰豆子ちゃん楽しい〜？」

禰「ム！」

善「はぁぁ…！可愛い……！」

心臓を抑えて蹲る善逸は羽織に葉っぱがつくことも厭わず悶えながら転がった。
そして数秒転がるとピタリと止まり

善「なんか聞こえる…話し声かな」

「え？」

善「これ……炭治郎とカナヲちゃんだ」

「……あ、善逸、あそこ！」

Aは気配を辿り後ろを振り向く。
そこには縁側に座り談笑する炭治郎とカナヲの姿があった。

善「何話してんだろ」

「あ、カナヲの顔赤くなった………ハァッ！善逸！…もしかしたらもしかするかも」

二人は木の影から談笑している炭治郎とカナヲを盗み見る。
傍から見れば盗人のような怪しい二人組だ。
禰豆子はAの背中によじ登り肩から顔を出して兄を見る。

「……禰豆子、善逸、これはあれだ」

善「まさか、Aちゃん…！」

「親友の恋なら応援するっきゃないっしょ」

善(アッそうだ、この子鈍いんだった…)

耳の良い善逸は二人の会話がハッキリと聞こえている。
そしてAは全く聞こえていない。

「なぁんだカナヲってば。炭治郎の事大好きじゃんか」

禰「…むー」

善「Aちゃん……」

兄の心中を察した禰豆子は兄が可哀相に思えてきた。
善逸もAを好きな気持ちは負けないが流石に友人が不憫に思えてきた。

善(恋敵が減るのは良いんだけど、それもそれで張合いがないからつまんないんだよなあ)

善逸は意を決して話の話題がAだと伝えようとしたが

善「Aちゃん、あのね」

「善逸！禰豆子！二人を恋仲にする為に作戦会議だ！」

善「エッ？！！！」

禰「むっ？！！」

「そうと決まればさっそく戻ろう！伊之助にも伝えなきゃ！」

親友の為にAは鼻息荒く伊之助を呼びに走っていった。

善「……俺、ここまできたら炭治郎の事応援しちゃうよ」

禰「……むー」

こうして炭治郎とカナヲを恋仲にする作戦が始まったのである。