音柱の継子~3~ (ページ14)

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玄弥はAの話を聞いてからぽつりぽつりと話し始めた。

昔は兄弟仲がよく下にもまだ小さい弟と妹がいた事、父親がろくでもない男で母親が必死に子供たちを守ってくれた事、夜に獣に家を襲撃され家族が亡くなった事、その時兄が体を張って守ってくれた事、兄が朝になっても帰って来ず探しに行って見た光景。

家族を襲ったのは、兄が手に掛けてしまったのは、紛れもない、自分たちをクソ親父から守ってくれていた鬼になった母親だった事。

玄「…受け入れられなかった、兄貴が母ちゃんを殺した事が。あの時は俺もガキだったから、ただ目の前で起きた事だけを見てた」

そして、唯一生き残った、自分を守ってくれた家族に言ってしまった。

玄「…人殺し、って言っちまったんだ…」

「……」

玄「兄貴は鬼殺隊に入隊した。…それからだ、俺の事を見捨てるようになったのは」

「……………」

玄「気付いた時には遅くて、兄貴に謝りたくて鬼殺隊に入って、選別合格して会いに行ったら」

「……………」

玄「認めてくれるどころか、く、口さえ、きいて、くれなくて…っ」

Aは額に手を当て深く息を吐く。

(風柱さんって、ほんとに不器用な人だなあ…)

玄「おれが、よわいからっ…！」

玄弥は今まで誰にも吐き出せないでいた感情の壁が壊れどばどばと目から涙を流した。

「あっ、ちょ、玄弥！？」

禰「むっ！？」