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" 俺に弟は居ねぇ "
たった一人の家族にそんな事を面と向かって言われた玄弥は屋根の上で項垂れた。
玄(何でだよ兄ちゃん…。俺、ただ、謝りたいだけなんだよ…)
抱えた膝に顔を擦り付け熱くなった目頭を紛らわせる。そうでないと止まってくれそうにないから。
禰「むー」
玄「……っ!」
禰「むー!」
突然聞こえた声に顔を上げると目の前には桃色の目と竹筒を咥えた幼子の顔。
玄「な、なんだお前…」
玄弥が禰豆子に問いかけると同時に
「隣、座ってもいい?」
玄「っ!……どうぞ…」
「ありがとう」
突然の来客に玄弥は戸惑いながら返した。
「君、最終選別にいた子だよね?名前は…」
玄「……玄弥だ」
「ああ!そうだ玄弥!私は同期の寒河江A、よろしくね」
玄「…ああ」
しばらく二人の間に沈黙が走る。
禰豆子は玄弥とAの間に座りふんふんと鼻歌を歌っている。
「………私ね、昔弟とすんごい大喧嘩して三日くらい口聞かない時があってさ」
禰「むー?」
「私が料理で火を使ってる時に弟がちょっかいを出してきたから危ないって叱ったの。私は間違った事は言ってないのに弟は全然理解してなくて。それでお母さんが仲介して話を聞いてくれたの」
玄「…」
「そしたら私も悪いって言われちゃって。ちゃんと説明しないで頭ごなしに言うからって。…その後直ぐに弟が姉ちゃんごめんねえってやってきてね」
Aは隣の禰豆子を弟に見立ててぎゅうっと抱きしめた。
「私もごめんねって仲直りしたんだ」
禰「むー!」
禰豆子がきゃらきゃらと笑う。
「…相手の気持ちなんて読めなくて当然。それが出来たら喧嘩なんてしないでしょ?」
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ワト - 続きも楽しみにしています! (1月8日 15時) (レス) @page39 id: 2e5d7514a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アマネム | 作成日時:2023年11月26日 22時