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Aが振り返ると同時に視界が暗くなった。
自分を包む大きな体がふるふると震えていた。
「師範…?」
宇「………馬鹿野郎が!!」
「…!」
宇隨はさらにAを強く掻き抱いた。
宇「なんつー無茶するんだお前はッ!!」
「う、わ、私だって…!皆を、師範を、守りたくてぇ…!」
宇「…もう、俺の前から誰かが居なくなるのは、ゴメンなんだよ…!」
「!」
これまで沢山の命を奪ってきた。
それは敵だったかもしれない、顔見知り程度だったものかもしれない、はたまた友と言えるほどの仲だったものかもしれない。
自分のような考えを持った兄妹は他に居なかったがそれでも血の繋がった肉親が目の前で散っていくのは耐え難いものだった。
宇「家族も何もかも失った俺にはあいつらとお前だけなんだよ」
嫁三人の他に自分で守りたいと思えたもの、それは紛れもないAただ一人。
宇「…俺の生きる意味なんだ、簡単に死に急ぐんじゃねぇ…!」
「しは、ん…ッ」
Aは両手を宇隨の背中に回し着流しをぎゅっと握る。
「……生きていてくれて、ありがとうございます。師範と皆が私を助けてくれました」
宇「は…?」
「私の生きる意味、それが無くなるまで私は生き続けますから────だから私は帰ってこれたんです」
宇「……ったく、ウチのお転婆娘は反省してるんですかねェ?」
宇隨は体を放しAに向き直る。
涙で赤くなった瞳を弓なりにして
宇「──────おかえり」
「─────ただいま!!!!」
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ワト - 続きも楽しみにしています! (1月8日 15時) (レス) @page39 id: 2e5d7514a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アマネム | 作成日時:2023年11月26日 22時