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・YG
ひと通り仕事が終わって事務室に戻る。
ソジュニの仕事着が破れたとかいうしょーもないことで呼び出されていた。
ガチャり、と裏口の扉が開いた。
YG「……。」
随分と見ないうちに老けましたね、サムスンさん。
SS「……ユンギぼっちゃん、」
YG「もう坊ちゃんじゃないです。ユンギ、と呼んでください。」
SS「……ユンギ様、」
YG「それもやめてください。」
SS「……ユンギ、さん。」
なんだか急に距離を感じた。
いや、俺が遠ざけたんだろ。
SS「旦那様が私をここに向かわせたこと、ユンギさんがそれを受け入れてくださったことを、もう一度深く感謝します。」
YG「何度も言いますけど……俺はただ貴方の顔が見たかっただけなんです。親父と今更顔を合わせようだとか、復縁しようだとか思ってません。」
SS「……そうです、か。」
寂しげなサムスンさんの表情。
昔よりシワが増えた。
サムスンさんは、昔の俺の付き人みたいな人だった。
正直、親父とより多くの時間を過ごした人だ。
家族ではないけど、大切な人。
SS「ちらりと拝見したのですが……仮眠室にこもっている少年らがいますね。あの2人は保護対象のうちに入っているということで間違いないでしょうか?」
テヒョンイとジミナのことか。
確かに、俺はこの店の従業員、客を守るように頼んだ。
あいつらは……名の無い特別枠だ。
YG「頼みます。」
SS「全力でお守りします。」
サムスンさんは……胸に手を当てて頭を下げた。
もう、俺の付き人でもないのに。
SS「もしかして……あの2人の少年は、」
YG「あぁ……身寄りのない孤児院から抜け出してきて、」
SS「……雰囲気がよく似ていました。あの子に。」
サムスンさんは、目を伏せる。
SS「たしか、あの日は……ギラギラと眩しい太陽が、街を歩く人々をよーく照りつけていた、そんな日でした。」
YG「……。」
SS「私が旦那様に呼ばれて駆けつけた頃には、あの子が虚ろな目をして旦那様をただぼーっと見つめていました。」
YG「あいつは、人間なんか大嫌いだって顔してしばらく過ごしていた、」
SS「……久しぶりにAぼっちゃんをお見かけしました。立派に育ちましたね。」
ああ。
とてもいい子に育ったよ。
YG「サムスンさん……あの2人の少年を引き取ったのは俺じゃないんです。」
SS「え?」
YG「A、なんです。」
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名無し74524号(プロフ) - はさん» ありがとうございます!めちゃくちゃ長いのに読んでくださって感謝です!!テヒョンさんがいつの日かにサックス演奏者になりたいと仰ってたのでその設定もつけました!これからもどうぞよろしくお願いします! (2021年5月6日 12時) (レス) id: 167dd810cf (このIDを非表示/違反報告)
は(プロフ) - 初見です!めちゃくちゃ読み応えがあってほんとに面白いです!!ストーリーに面白みがあって、でも現実と同じ出身校だったり。。最高です!!今私高1で、1日の終わりに読むのがとても楽しみになってます!まだまだ楽しくなりそうなこのお話を、毎日の楽しみにします!! (2021年5月6日 6時) (レス) id: 2f07946095 (このIDを非表示/違反報告)
ニートルズ。 - 続編おめでとうございます!頑張ってください! (2021年3月4日 22時) (レス) id: 8f39bffcdf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アザラシ | 作成日時:2021年3月4日 20時