雨上がりと俺の運勢 💙💛 ページ23
※学パロ
nbside
『はぁ…』
秋も始まった季節。そんな俺の気分は最悪。
急に降られた雨と最近見れていないあの顔。
ある意味ツイている。
んだよ、朝晴れてたじゃん。ころころ変わんなよ全く。
傘をひらいて校門へ向かう他のヤツらの姿にすら腹が立ってきた。
全員、車で上がった水飛沫で汚れてしまえ。
生憎、折りたたみ傘なんて持っていないし濡れて帰るか、止むのを待つか、
これは続きそうだけどな……
『ダッシュしたらワンチャン……』
せっかく朝に気合いを入れてセットした髪も、少し背伸びをしてつけた父親の香水も、気づかれる前に無駄になってしまうがどうせ会えないだろうし、会えても自分が素直に話せる気もしない。
仕方ないだろう。幼馴染の忠告を聞かなかった俺が悪い。
しばらく上がりそうもない雨も気分も気にしていないようにしよう。
なかったことにしてしまおう。
「翔太、」
『は、？』
「お前、傘は？」
声の方に視線を向けると、天気と同じくらい俺の気持ちを変えてしまうアイツ。
びっくりした、だってもう既に帰っているはずだから。いつもは帰っているから。
なんで…？
『傘…は、忘れた』
「はぁ？天気予報みてないの？」
『朝晴れてたし、降らないと思ったんだよ』
「嘘でしょ…」とか、呆れたように呟いて、若干引いたような素振りを見せられる。
俺、先輩なんだけど？
とはいえ、心拍数と気分が上がったのが自分でもわかる。
俺ってわかりやすいなぁ…とか、
「……ん、」
『は？』
「ん、傘！」
どこのアニメ映画のワンシーンだ。
手に持っていた黒い傘を何も言わずに、俺に渡してくる。
『いやいや、いいって、俺走って帰んだからてか、お前は？傘どうすんの？』
「俺は折りたたみ傘持ってる……はず、だからいい」
『はずって…いいよマジで、』
「俺が嫌なの、ここでなんもしないでいて風邪とか引かれたら俺が悪いみたいじゃん」
『はぁ？』
お互い譲らず。
まぁ、困ってるのは本当だし、これで後日の話すきっかけもできる。
照が俺に優しくするなんて滅多にないだろうし、ここで甘えるのもありなのかもしれない…
『…じゃあ、うん、アリガト………』
「…うん、」
『………』
「………………なに？帰んないの？」
『は？いや、折りたたみなかった時のためだって』
「いや、だから使って？俺に気使わなくていいから」
『だから、俺は使うよ！』
「…は？」
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作者名：Tsukuri | 作成日時：2022年5月12日 20時
