あいらぶゆーを声にして ❤💙 ページ1
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愛してるを彼の口からききたい
そう思ったある日の水曜日。
いつもだったらこんな事は思わないけど、今日はなんだか、心にぽっかり穴が空いているような気分で、少しだけ淋しかった。
最近は有難いことに忙しくて、ふたりきりの時間が無かった。
その所為なのかは分からないけど、朝から翔太の声がききたくて、愛してるって言葉が欲しかった。
目に見える愛が欲しくなった。
照れやな彼だから、「愛してる」なんて言葉をきけるかは期待出来ないけど、
もしかしたらなんて淡い期待をもって、家へ誘った。
「おじゃましまーす」
『いらっしゃい』
もう何度も来ているからか「お邪魔します」なんて言ってるけど、自然に当たり前のように洗面台へ進んでいった。
あ、また靴揃えてない。
左右でばらばらの方へ歩き出しそうになっているサンダル。
もうこれはB型とか関係ないよね……
そんな所さえ愛おしく思ってしまうんだから俺はもう手遅れなのかもしれない。
なんて、靴を自分のブーツの隣に揃えながら思う｡
「うおっ…と、」
『おっと、』
「あ、手？」
『あ、まあ、うん』
「はい、」
翔太の後を追って洗面台へ行くと、リビングへ行こうとした翔太とぶつかりかける。
…てか、はいって、俺の家なんですけど……
まあ、いいけど……
『あれ、なに見てんの』
やることを済ませて、また翔太の後を追うと今度は、テレビを見ている翔太。
しかも、今やっているやつではなさそうだ
「んーどんなんだったのかなぁって、」
『そう、』
佐久間とふたりでレギュラーをさせてもらってる朝の番組。
翔太だったらあの時間でも起きてないか、
「なぁ、」
『ん？』
「放送、楽しい？」
オープニングが終わって、次のコーナーに入ろうとしている時。
不意にそうきかれる。
『え、なんで？』
「いいから、楽しい？」
『うん…まあ、楽しいよ』
「ふーん」
自分からきいてきたくせに、思っていたより薄い反応。
また、彼の気まぐれか？
「頑張るなとは言わねぇけど、無理すんなよ」
『…なんで？』
「んー何となく」なんて、ホントは分かってるでしょ？
不器用で下手くそな気遣いだけど、それも彼らしくて、朝から淋しかった俺にはくるものがあった。
ダメだ…人がいる所でところはもう泣かないんだ。
弱いところは見せない。翔太の前なら尚更。
「涼太」
『ぇ……？』
「ん、」
『……？』
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作者名：Tsukuri | 作成日時：2022年5月12日 20時
