８月＿＿＿＿夏祭り.３ ページ21
｢こんなもんかな。うち貧乏だから百円で一食分浮いたのはありがたいわ｣
そう言いながら取った金魚が大量に収まっている袋を持ち上げる磯貝先輩。
百円でその量って…かなりお得だよなぁ。
＿＿＿＿って、いやいやいやいや。
｢食べ…えっ。その金魚食べるんですか……？｣
｢美味いぞ？｣
ごく自然に流しかけたがこれは駄目だ。
少し後ろの方を歩いていた前原先輩(名前は教えてもらった)に小声で問いかけてみる。
｢前原先輩前原先輩、金魚って食べ物でしたっけ…？｣
｢さ、さあ…少なくとも俺は食べたことねぇな｣
案の定前原先輩も驚愕の表情を浮かべていたからやっぱり金魚は食べ物じゃないはず。
うん、きっとそうだ。
＿＿＿＿ドォン。
不意に太鼓にも負けない大きな音が鼓膜を揺らした。
｢綺麗…………｣
打ち上げ花火だ。
色とりどりの花が浮かんでは消えていく。
ちらりと横を見れば花火の光に照らされる磯貝先輩が目に入る。
今なら、頑張れるかな。
｢い、磯貝先輩！｣
花火の大きな音に負けないように。
しっかり届くように少し声を張る。
｢どうした？｣
そう言って私の目線に合わせて少しだけ屈んでくれる磯貝先輩。
…自惚れるな、私。
先輩は優しいんだから。
こういう事をしてもらえただけで喜んでちゃ駄目だ。
先輩に、私を
私だけを、見てほしいなら
勇気を出して先に進まなきゃ。
｢先輩、
____花火、綺麗ですね!｣
…やっぱり駄目だ。
想いを伝えるだなんて今の私には到底無理。
たった四文字だけなのに。
＿＿＿＿片思いって、苦しいなぁ。
甘くて、それ以上に凄く苦い。
｢好きです、先輩。＿＿＿＿大好きです｣
誰にも聞こえないように、花火の音がかき消してくれるように、ぽつりと呟いてみた。
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Mya(プロフ) - 月読さん» コメントありがとうございます！最高ですか！？こ、光栄で恐縮でなんと言うかもう……(？)お気に入り作者にも登録ありがとうございます！！これからも頑張りますので生暖かい目で見守ってやってください〜…！！ (2017年7月1日 20時) (
レス) id: 9ec455dfc4 (このIDを非表示/違反報告)
月読(プロフ) - お気に入り作者とうろくさせていただきますね！これからも頑張ってください！ (2017年7月1日 19時) (レス) id: 720095c5ce (このIDを非表示/違反報告)
月読(プロフ) - なんでだろう…涙が止まりません｡ﾟ(ﾟ´ω`ﾟ)ﾟ｡ 最高の小説でした！続編も読ませていただきますね！ こんなにいい小説に出会えて幸せです…！ 一年を書いちゃうのがいいですね…磯貝くん！かっこいい！！（でも前原くん大好きな私がいる…） (2017年7月1日 19時) (レス) id: 720095c5ce (このIDを非表示/違反報告)
Mya(プロフ) - 絢さん» コメントありがとうございます！両片思い編は作者としても思うところがありました…２ですね！了解しました！いえいえ、何かぱっと思いついた物で大丈夫なのでそんなに気負わないでください…！！続編の方にもリクについては書きますのでよろしくお願いします( ´ω` ) (2017年6月26日 15時) (レス) id: 9ec455dfc4 (このIDを非表示/違反報告)
絢(プロフ) - 両片思い編は切なかった……私的には2がいいかなーと思いました！かと言って私がなにかリクを出せるかと言われると自信がないのですが… (2017年6月26日 7時) (レス) id: 021a2c26af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Mya | 作成日時：2017年3月18日 15時
