この気持ちに蓋をして �� ページ14
「……俺さ」
気づけば口が動いていた。
タオルをそのまま押さえて涙を隠す。
夜久は静かに聞いていた。
コイツの気遣いはまるで
聖母を思わせるように暖かく優しい。
「Aを、
ずっと前から、研磨よりも好きだったんだ」
「研磨がAを好きになる前から、俺は」
手が震える。
声が震える。
好きに長いも短いも関係ない、けど。
「なのに！…Aは俺よりも…研磨を選んで…」
「すっげぇ、辛かった！あいつの口から研磨の話を聞く程…。こう、…なんか、心臓部分が、めちゃくちゃ！、痛くて…！苦しくてっ！」
いつの間にか声を荒げていた。
全部全部声と共に吐き出せばいい。
「…でも、俺は二人の兄みたいな存在だから
だから、二人が付き合うように無駄なお節介して……心では、そんな恋なんて実らなきゃいい、…なんて、最低なこと考えてて！！」
「………」
「……今日だって、部員皆二人の幸せを喜んでたのに。一番喜ばなくちゃならない俺が、」
「別れればいいなんて心の底から思ってた」
かすれた声で言う。
スッキリとは行かないが、
話して楽になれた気がした。
「……そう、思うのは仕方ねぇよ」
「だけど、お前のした行動で、二人は付き合えたんだ。幸せに、なれた。お前のおかげでな」
「………」
俺は、俺は
「……お前は、良くやったよ」
夜久は満面の笑みで、
俺の背中を叩く。
…、また、新しい恋でも、探せば、良い、かな
それまでは、俺はAを忘れられない。
この、気持ちは
アイツには告げないでおこう。
「………ありがとな」
「おう！」
この苦い気持ちは
俺は一生、忘れない気がする。
【この気持ちに蓋をして】 END
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 20人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あやの - 国見ちゃん泣けました…。ところで、国見ちゃんと夢主ちゃん結婚してるんですか？？ (2016年9月5日 22時) (
レス) id: 83f28b6f0a (このIDを非表示/違反報告)
夢乃 紀蘭(プロフ) - にろちゃんと国見ちゃんの見ました！！にろちゃんは途中で終わってたけど国見ちゃんのが泣けました！ (2016年9月5日 22時) (レス) id: 0e554962f9 (このIDを非表示/違反報告)
天雪(プロフ) - 泣けました！！国見ちゃんのすっごい悲しくなりましたしクロのもとても切ない気持ちになりました。これからも頑張って下さい (2016年8月29日 23時) (レス) id: cdecbe720a (このIDを非表示/違反報告)
きしりとーる(プロフ) - ◆.水無月.◇さん» あ、そうなんですか?楽しみにしてます(*^^*) (2016年8月15日 16時) (レス) id: c7f7072453 (このIDを非表示/違反報告)
◆.水無月.◇(プロフ) - きしりとーるさん» にロちゃんの話は今見たらいつの間にか最後は消えていて…また書きますのでどうかお待ちを！(●´ω｀●) (2016年8月15日 16時) (レス) id: c0b6bb33f0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みかど | 作者ホームページ：
作成日時：2016年8月5日 19時
