�� × ページ46
.
私は無我夢中に私の首筋に吸い付いている今井さんの両頬を勢い良く両手で挟む。
力の限り私の首筋から今井さんを必死で離せば、驚いた顔の今井さんと目が合った。その瞳に映っている私の顔は醜く歪んで 涙を流していた。
生温かい液体が首筋から流れ、止めどなく溢れる水の粒。未だ今井さんの頬を挟む両手は小刻みに震えている。
「！！ ......Aさん、俺は なんて事を、」
そんな私の姿に 今井さんの顔は徐々に絶望に染まっていく。感情に支配されていた自分の行動を思い返し自責しているのか「こんなの、あの野郎と同じじゃねェか......」と、歯を食いしばっていた今井さんに 更に私は重い罪悪感を抱く。
本を正せば夜に出歩いていた私が悪いのに、今井さんに辛い思いをさせてしまった。軽率な行動をしていた自分が情けない。謝るのは私の方なのに。
『今井さん』
静かに名前を呼べば今井さんの肩が大きく揺れる。私が怒るとでも思っているのだろうか。眉を下げる今井さんは叱られる前の子供のように弱々しい。
私は今井さんから手を離さずにしっかりと今井さんと目を合わせながら言う。
『私、汚されてなんかないよ』
「......え ？｣
強張っていた顔がその一言によって緩む。
今井さんは何を言われたのか理解できないとでも言いたげに首を傾げた後、瞼を大きく上げ瞬きをして私を見詰め返す。
『今井さんが早く来てくれたから、私は大変な事にならなくて済んだの』
『......早く言わなくてごめんなさい、』
首に腕を廻らせ今井さんの肩に顔を埋める。恐怖からか、安心感からか、溢れる涙は今井さんの衣服を濡らしてしまった。
『今井さん、ありがとう』
助けに来てくれたのが今井さんで良かった。
本当にあの時安心したのだ。今井さんの事ばかり頭の中でよぎって、自分が危ない目にあってる最中も今井さんに嫌われないか怯えていた。だから、大事になる前に今井さんが来てくれて、本当に嬉しかった。
色々怖い思いはしたけれど、今井さんが助けに来なかったら 私の人生は本当にお先真っ暗になっていたんだ。感謝しかないのに、それを上手く伝えられない。
「......本当、ですか ？ Aさん。本当に、」
『うん。嘘なんか吐かないよ』
私の背中を擦る今井さんの手。
何度も何度も本当かと聞かれる度に私はしっかりと返す。そんなやり取りが暫く続いた後、今井さんが「良かった、」と 漸く信じてくれて 抱き締め返してくれた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 123人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みかど(プロフ) - クソすぎる駄作者さん» 遅くなってすみません ...(´；；｀)少し首を傾げる部分があるご都合展開になってしまいましたが、良ければ書けたので 読んでもらえると嬉しいです (´∀`) ありがとうございました！！ (2019年1月27日 1時) (
レス) id: 740556791c (このIDを非表示/違反報告)
クソすぎる駄作者(プロフ) - みかどさん» 返信ありがとうございます！分かりました！見てみます！ (2019年1月23日 2時) (レス) id: 2effaca00b (このIDを非表示/違反報告)
みかど(プロフ) - クソすぎる駄作者さん» コメント、ありがとうございます ！！ わっわ ！！ 凄く嬉しいです ！！ 本当にありがとうございました ッ！！ m(_ _)m 少し前に書いたものですので 、あやふやですが ... もしも書けましたら 私が作った【小咄】に載せますので お気軽にお待ちくださいませ ... ！ (2019年1月22日 20時) (レス) id: 740556791c (このIDを非表示/違反報告)
クソすぎる駄作者(プロフ) - 忘れたくなかった の続きって書けますか！？書けたら是非お願いします！お気に入り登録、評価失礼しゃす！ (2019年1月22日 19時) (レス) id: 2effaca00b (このIDを非表示/違反報告)
みかど(プロフ) - 美里さん» 励みになる言葉を有難うございます ヽ(*^^*)ノ 頑張りますっ (｀・ω・´)ゝ (2019年1月17日 23時) (レス) id: 740556791c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミカド
| 作者ホームページ：
作成日時：2018年12月22日 20時
