�� ページ32
.
「谷川よォ、実は昨日俺はAさんと喧嘩してしまったんだ」
「はいはいそろそろ来るかと思いましたよまた」
「...また ？」
「いや、なんでもないです今井さん」
「ッア ！！ 喧嘩って言っても拳の喧嘩ではなくてだな... ！！ えっと、あれだ ！！ 口から出る言葉のヤツだ ！！！ だから安心してくれ谷川ァ！！」
「何も心配なんてしてないっすから大丈夫ですよ。で ？ 早くちゃっちゃと謝りに行ったらどうですか」
「ウッ」
数時間前、マイハニーAさんが急に眉を吊り上げて俺を睨みそのまま俺の家から飛び出てしまった。それまで軽く、今思えばくだらねェ話でムキになってしまっていた俺はやっぱりAさんのいない時間は退屈でしかなく頭のてっぺんまで上がっていた怒りは直ぐに悲しみに変わった。
その瞬間俺は急いで彼女を追い行きそうな場所を行き来していれば、そう。俺の舎弟谷川と出会したのだ。
俺の顔を見た瞬間に面倒臭そうに顔を歪ませていたのだが気の所為だろう。
「おっ、俺は...」
ストレートに谷川に言われれば、勿論謝るつもりだった俺は言葉が詰まったように何も言えなくなってしまった。
そうだ。俺は謝りたいんだ。
Aさんと仲直りをして『やっぱ今井さんだいちゅきー ！！』と言われて抱き締められたい。そうしたら「ウンッ ！！ 俺も、Aさん、だいちゅきィイイ ！！」なんて喧嘩したことさえも忘れていッ、いちゃいちゃできると言うのに。そしてあわよくば、そのまま夜を共に過したり...ムフッ。
「...どーしてそんな飛躍しちゃったかなぁ。それにAちゃんはそんな恥ずかしいこと言う子じゃないっすよ今井さん」
「なッ ！？ 谷川、如何して俺の思ってることが分かるんだッ ！？ ...さてはお前、エスパーか ？」
「下心が口に出てましたよ」
想像に没頭していれば谷川のやけに冷たい声で現代に引き戻される。
兎に角俺は今すぐにでもAさんを探して謝りたい。だが、対面をしたら俺は素直に謝ることができるだろうか。変な意地でAさんとまた喧嘩してしまったら、そう思うと情けない話 恐ろしくて怖気付いてしまう自分も居る。
はぁ、と自分の情けなさを痛感して肩を落としていればそんな俺を無言で見詰めていた谷川の表情が変わった。
「俺なんて、好きな人にチビ夫呼ばわりされてるんですよ。それよりも仲直りした方が簡単じゃないすか」
それは物凄く、満面の笑みだった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 123人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みかど(プロフ) - クソすぎる駄作者さん» 遅くなってすみません ...(´；；｀)少し首を傾げる部分があるご都合展開になってしまいましたが、良ければ書けたので 読んでもらえると嬉しいです (´∀`) ありがとうございました！！ (2019年1月27日 1時) (
レス) id: 740556791c (このIDを非表示/違反報告)
クソすぎる駄作者(プロフ) - みかどさん» 返信ありがとうございます！分かりました！見てみます！ (2019年1月23日 2時) (レス) id: 2effaca00b (このIDを非表示/違反報告)
みかど(プロフ) - クソすぎる駄作者さん» コメント、ありがとうございます ！！ わっわ ！！ 凄く嬉しいです ！！ 本当にありがとうございました ッ！！ m(_ _)m 少し前に書いたものですので 、あやふやですが ... もしも書けましたら 私が作った【小咄】に載せますので お気軽にお待ちくださいませ ... ！ (2019年1月22日 20時) (レス) id: 740556791c (このIDを非表示/違反報告)
クソすぎる駄作者(プロフ) - 忘れたくなかった の続きって書けますか！？書けたら是非お願いします！お気に入り登録、評価失礼しゃす！ (2019年1月22日 19時) (レス) id: 2effaca00b (このIDを非表示/違反報告)
みかど(プロフ) - 美里さん» 励みになる言葉を有難うございます ヽ(*^^*)ノ 頑張りますっ (｀・ω・´)ゝ (2019年1月17日 23時) (レス) id: 740556791c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミカド
| 作者ホームページ：
作成日時：2018年12月22日 20時
