｢狼ゲーム｣を塗り替えろ！

嗚呼、馬鹿らしい ページ22

アナザーストーリー
｢君の狼ゲーム｣

新村コウ目線でプレイEP.4


｢…もう、馬鹿らしくなったんだ｣

俺は、リンタロウを真っ直ぐに見つめ返した。

｢Aには、誰かを救うことが出来たのに…
俺は、土屋タクヤを見殺しにしようとした。
そんな自分が、馬鹿らしくなったんだ。｣

俺は、PCを床に置いて、手を広げた。

｢…ほら、何も持っていないぞ。
俺を殺すチャンスだろう？｣
｢…お前は、自分を犠牲にして、僕や、土屋タクヤを助けようって言うの？｣
｢だから、そう言ってるだろ？｣

リンタロウは、凶器を振り上げた。
俺は、笑って、遺言になるであろう最後の言葉を言った。

｢俺が死んで、俺の墓が出来た時は…
このPCを、棺に入れてくれよ？｣

嗚呼、これで、終わりだ。
俺は、目を閉じた。


…だが、いくら待っても痛みは来なかった。
俺は、恐る恐る目を開けてみた。

そこには、床に泣き崩れるリンタロウの姿があった。

｢やめろよ……｣
｢…リンタロウ？｣

心配になってそばに駆け寄ると、彼は小声で泣きじゃくった。

｢そんな姿見たら…僕が、ユウヤみたいだろ…！｣

ユウヤ…また、その名前か。

｢どうしたんだ？何があった？｣
｢…うっ、母、さん……と、うさん…｣

俺は、ため息をついて、リンタロウを病室に連れていった。

リンタロウは、しばらく泣き止まなかった。
俺は、そんな彼の背中をさすった。

…しばらくして、リンタロウは顔を上げた。

｢…すまない、新村コウ｣
｢何でいきなり呼び捨てなんだ？｣

｢…君は、脱出成功だ｣

突然リンタロウが発した言葉に、俺は理解が追いつかなかった。

｢…は？｣
｢僕が、狼ゲームの主催者なんだ｣

…怒涛のカミングアウトについていけない。

それから、彼はこのゲームの全てについて話してくれた。

自分が、5年前の電車で起こった猟奇殺人事件の被害者遺族であること。
世間が、自分たちに酷い仕打ちをしてきたこと。
事件後の被害だけでなく、当時見捨てた人や、ユウヤを作り上げた人…色んな人がこの事件に関わっていたこと。
今回の狼ゲームでは、この事件に関わっていた人達が集められていたこと。

そして、この狼ゲームの真相……脱出方法について。

全てを話し終えたリンタロウは、最後に俺にこう言った。

｢…君は、脱出成功だ。｣
｢おれ、が…｣
｢脱出口を教えようか。脱出口は…｣
｢…いや、それは話すな｣

俺は、リンタロウの話を遮った。

｢アイツを…Aをおいて帰れないからな。｣

リンタロウの心情→←アイツには、出来たのに

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