｢狼ゲーム｣を塗り替えろ！

拝啓、優しい恩人へ ページ17

アナザーストーリー
｢君の狼ゲーム｣

鈴川A目線でプレイ

私の言葉のおかげで、サトルさんは泣き止んだ。
彼は、照れたように頬を染めながら、それでも私の目を真っ直ぐに見つめて、感謝の言葉を述べた。

｢あの、その…ありがとう。｣
｢いいよ、お礼なんて。私はただ、サトルさんに間違った道を歩んで欲しくなかっただけで。｣

私は笑顔で対応する。
ところで、さっきから私たちに向けられている、妙な視線は何なのだろうか？
…もしかして、誰か、見てる？
…いや、ないな。

｢その、君のおかげで、変われる気がするよ。
俺は、もう、人殺しなんて考えない。
大人しく、処刑されるよ…。｣

彼の目に、迷いはなかった。

だけど、もう少し生きたかった、とでも言いたいようなその目を見て、私は、真実を教えたくなった。

あなたは、死なないよ。
変われたんだもん。
怯えなくていいの。

言いたかったけど、言ったらダメな気がした。

｢…サトルさん｣
｢…なんだい？｣

私は、満面の笑みで、彼にこう言った。

｢…変われたサトルさん、カッコイイよ！｣
｢……ッ！｣

彼は、大きく目を見開いて、嬉しそうに笑った。

｢…ありがとう。｣

…本当は、誰よりも泣きたかったのは、サトルさん自身だった。
人を殺そうと企てた彼は、自分で自分が怖くなってしまった。

1番なぐさめるべき人はサトルさんだったのだ。

私は、もうこの人のそばにいる必要は無いな、と思って、部屋を出ていった。

すると、廊下に、見慣れた電子機器が1台。


｢……これ、新村ちゃんのPCじゃん｣

何故、ここにあるのだろうか？
それは、紛れもなく、新村ちゃんがいつも肌身離さず持ち歩いているPCだった。

｢…ま、いーや。
ワタシ、考えるのやーめたっ！｣

新村ちゃんPCを回収して、私は、新村ちゃんを探しに廊下を走った。

☆

それから、少し時間が経って。
サイレンの音が鳴り響いた。

《み、皆さん！広間に集まってください！》

これは、メリーの声…？
私は、サトルさんが処刑されることを悟った。

でも、フェイク処刑とはいえ人が死ぬところは見たくない。

私は、リビングで皆を待つことにした。

私は今まで、メリーと顔を合わせたことが無かった。
それはつまり、メリーの側からして、私が参加者だ、という認識は無いということ。

私は、安心しきった顔でスマホをいじっていた。

…すると。

《…ありがとう、Aさん……。》

そんな声が聞こえた刹那、
悲痛な叫びが聞こえてきた。

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