◯春も夏に ページ44
wnside
初めてメンバー全員で海に行ったあの日。
あんなに笑ってる佐久間、久しぶりにみた。
でもあの帰り、俺は見たんだ。
行きと変わって、照と佐久間の方に乗ることになった俺と阿部ちゃん。
向こうの残りのメンバーは康二が運転で海を後にした。
帰り際疲れてしまったのか、少しふらついていた佐久間。
そんな佐久間に『寝れそうだったら寝ていいよ』と照が一言。
佐久間のことだから多分気を遣って寝ないんじゃないか、って思ったんだろうね。
sk「うん、ありがとう」
案の定、一向に寝ようとしなかった。
ずっと窓の外を向いて、ただじっと外の景色を見てた。
その時、俺は気づいたんだ。
彼の頬を伝う涙に。
だから俺は黙って彼の手にそっと自分の手を重ねた。
sk「俺、…もうここに来れないのかな…？」
ふと蘇る先生の言葉。
『夏を迎えるのは難しいと考えてください』
佐久間にこれが最後の旅行だったなんて思わせたくなくて、
”そんなことないでしょ？”
って言いたかった。
けど、今の俺には重ねた手を握ることしかできなくて。
そんな自分が情けなかった。
あれから約１ヶ月が経った。
海に行く前と後で、状況は大きく変わった。
起き上がることが難しくなった。
酸素吸入がないと呼吸が難しくなった。
右手に加えて、左手も動かせなくなった。
そして、このままのペースで鎮痛剤が増えれば、意識障害が起きるのも時間の問題だと言われた。
『もうみんなでここには来れない』
佐久間がきっとみんなと夏を迎えることはできない、そう思って言った言葉。
絶対そうはさせないから。
また夏にも行けるって。
…なんて言葉、治すことのできない俺が言ったって、ただの気休めにしかならないよな。
wn「春も夏に…できないかな？」
kj「ん？」
ab「どういう意味？」
だから俺は考えたんだ。
春でも、夏にしちゃえばいいんだ、って。
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mocchy(プロフ) - 紫織さん» 返信が遅くなってしまい、大変申し訳ありません。作品を見ていただき、ありがとうございます！大好きと言っていただけて、とっても嬉しいです！時間はかかってしまうと思いますが、少しずつ投稿していくので、気長にお待ちいただけると幸いです (2020年11月22日 17時) (
レス) id: 8360e80300 (このIDを非表示/違反報告)
紫織(プロフ) - 始めまして。この作品が大好きで、何度も繰り返し拝見しています。お忙しいとは思いますが、是非続きが読みたいです。 (2020年10月5日 6時) (レス) id: 8c3a36c768 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葉邇児 | 作成日時：2020年4月10日 17時
