序 ページ1
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「────貴様、名をなんと言う」
「…死に損ないに言う必要ある?」
「貴様も死に損ないだろうが」
平安の世。
呪術の全盛期と言っても過言ではない時代にて、雨が降り注ぐ中二人の人間が合間見合った。
二つの顔を持ち、四本の腕を持った鬼神にして呪いの王となった元人間 両面宿儺。
呪いの王は地に伏せ、血を流し、虫の息となっている中自分を倒した男の名を訊いた。
「───
「そうか。次会った時は必ず、必ず俺の手で殺し、喰ってやるからな」
「これから封印される野郎が何言ってんだ…じゃあな、両面宿儺。お前と戦うのはもう二度と御免だ」
観勒は呪力を込めて印を結んでいくと、ふと目を伏せ宿儺に向け笑みを浮かべた。
「…でも、初めて戦ってこんなに楽しかったことはなかったよ」
「あァ…それは同感だ」
ここまで死んで逝った同胞を考えると不謹慎なのかもしれない。
だが、今まで観勒と対等の強さを持った存在は両面宿儺が初めてだったのだ。
逆もまた然り。初めて相手を殺す為に全力を出した。
宿儺自身、戦闘中はよろこびを感じていた。
「ケヒッ。観勒飛輪よ、俺は言ったことを必ず実行する…その名は絶対に忘れはしない─────…」
「…いや、忘れろよ」
長きにわたり、呪いの王として君臨していた両面宿儺の人生はここで終幕。
数々の呪術師が宿儺を倒そうと、数多の命を落とし犠牲となった。
だがこの時を持って亡き呪術師達の悲願は達成された。
その男の名は観勒 飛輪。
この時代最強の呪術師にして、後の未来にて語り継がれる英雄の名である。
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きんにくふぇち@他力本願。(プロフ) - 術式のイメージがまさかのアンガルタで全私が泣いた。流石術式指パッチンの作者だよアンタ…! (1月15日 22時) (レス) @page8 id: 5ebe7ae459 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - ドストライクです。! (1月15日 7時) (レス) @page8 id: 808ea90ce0 (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - 面白過ぎました! (1月13日 23時) (レス) @page5 id: e3fdbdb203 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Yuri | 作者ホームページ:https://twitter.com/Yuri_Asum
作成日時:2024年1月13日 21時