糸師家長男はサッカーの才能を全て弟達に吸い取られた件【ブルーロック】

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今回の件に関して俺は家族であろうと完全に部外者だ。
本音としてはもう少し俺に頼ってくれても良かったのに、と思ったけど冴の中にあるプライドが許さなかったんだろう。
この口下手な弟め。

凛に謝って仲直りしろ、なんて言わない。
今弟達の間にはマリアナ海溝並にふかーい溝ができた。

きっともう、以前のような兄弟仲になることは無理かもしれないけど兄として心が不安定になっている弟達を支えてあげないと。

多分糸師家始まって以来の拗れに拗れきった兄弟喧嘩だろ、これ。
全く、やれやれだぜ。



「……よし、冴！ 焼肉行くぞ」


「は？」


「そんなに窶れてたら食事も疎かにしてたんだろ？ 体が資本のアスリートがそんなんでどうすんだ。 ここはお兄様の奢りだから」


「おい、俺は行くなんて」


「やだ！！ 俺が！ 冴と！ 行きたい！！」


「…」



その蔑むようなお目目はやめてほしいな冴ちゃん。
お兄ちゃんのハートが死んでまう。
俺が全力で駄々を捏ね(※23歳)、結果冴が諦めて俺は完全勝利Aを収めた。

そして冴を引っ張ってよく来る行きつけの焼肉店に来た。
何気にこうして冴と二人っきりで食べに来るのは初めてなので、ちょっと楽しみ。
空気は重苦しいが。



「でも冴も言い方が悪かったなー。もっと俺みたいにクレープ生地で包むように言わないと」


「俺は冷ほど能天気じゃねぇから無理」


「こんの悪いお口はー」



昔のように冴の頬を軽く抓る。
こんな事を言っているが、実の所正直凛の事が気になって仕方がなかった。
冴の話を聞く限り、凛と1on1をした後その場に置いて去ったという。

本当は冴も巻き込んで凛の日本一おめでとう会を開きたかったけど、これじゃ無理だろう。



「今日はどうする？ 流石に凛と一緒には寝れないだろ？」


「冷の部屋に入れろ」


「はいはい…冴様の仰せのままに」


「ん」






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