心機一転で髪切っただけなのに失恋したと勘違いされた話【青檻】

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とか思ってたのに最悪の事態が舞い降りた。





【悲報】最推しが死んだ。






「ぁ………ぁ………」




私は今、カオナシ状態になり絶望のどん底にいた。
スマホで某漫画アプリを開き、週刊雑誌を読み進めると私が推していた最推しが死んだ。


もう一度読み返し、私の目の幻覚だったのかもしれないと確認をしてみたけど、マジで最推しが死んだ。
その事実を受け入れた途端、雨が降ってきた。


室内に雨は降らない？
いいや、降ってるよ。私の目から。




「もうダメだ…」




動く気力すらない。
この胸にぽっかり穴が空いたような喪失感。


ああ…今なら芹沼花依ちゃんのように一週間飲み食いせず引き込もれるかもしれない。
これが推しの喪失…体験したくなかった。


こういう時どうすればいいんだ…天井のシミ数えるとか？
あ、でもここ出来たばかりだからシミ一つないわ。


やってらんねー、と思っていると私は腰まである長い髪を見て、先日のバチェラ君との会話を思い出した。




────「じゃあもし切るとしたら？」



──── 「切るとしたら…？ うーん…悲しい時とか？」



「そうだ……髪を切ろう」




そうだよ。今こそその悲しい時だ。


思い立ったらすぐ行動。
私は近くの美容室に予約をし、青い監獄の総帥である絵心さんに「私ちょっくら下界に下山します！！」と外出許可を貰い、マイバイクで予約した美容室に向かった。





「本日はどのようになさいますか？」



「バッサリお願いします。ミディアムヘアぐらいで」



「何かありましたか？」



「っ……推しキャラが、死んじゃって…心機一転に来ました」


「私はオタクの味方の美容師です。語り合いましょう」



「ど、同士…！」



私は泣きながら美容師のお姉さんとオタ会話をしていた。
もうなんなんだよこの美容師さん。良い人が過ぎる。
そして喋っているとあっという間に時間が過ぎていき、遂にカットが終了した。



「大変良くお似合いですよ」



「これが、私…！？」



ちょっとよくある台詞を言ってみたかった。
でも、腰まであった長かった髪を肩につくぐらいの長さになるだけで、こんなに印象が変わるんだ…いやー、人ってすごい。


しかも軽くヘアアレンジまでもしてくれた。
このお姉さんには頭が上がらないや。


お会計もし、泣く泣くお姉さんとも別れて私は監獄に舞い戻った。
久しぶりのシャバの空気は美味かったって絵心さんに伝えよう。





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