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「ちょ、雅…!」
いくら呼んでも起きない雅に俺はパニックになっていた。
やっぱりこれ俺のせいだよな。いや、俺しかいないんだけど。
まさか倒れるとは思っていなくて突然倒れた雅をどうするか、と考える。
こんなところをお姉さんやお兄さんに見せたら確実にぶっ殺される。
そしておばさんに包丁投げつけられる未来が見える。
俺は悩んだ末、雅を抱き上げてベットにゆっくり横たわらせた。
青い監獄でトレーニングしたことにより筋力がつき───多分以前だったら出来なかった───ヒョイっと抱き上げることが出来た。
「…可愛いな、やっぱり」
ベットに座り、まだ少し頬が赤くなっている雅を見てポロッと口から零した。
昔から隣に居てくれた存在で、俺の事を応援してくれていた。
『世一くん、凄い! カッコイイね』
『あ、ありがとう…そう言ってもらったの初めてで…なんか嬉しい』
『初めて…なら、わたしが世一くんのファン第一号ね!』
『雅が、おれの?』
『うん! これから先ずっとわたしは世一くんのファンで、世界一のストライカーになるのを応援するの!』
サッカー始めたての頃、雅にそう言われたのをずっと覚えてる。
俺にとって初めてのファン。
しかも相手は好きな子。嬉しくないわけがなかった。
試合に勝ったら一緒に喜んでくれて、負けた時は何も言わずに傍に居て、たまに八つ当たりする時もあったけど俺から離れようとしなかった。
保育園からずっと続く幼馴染みという関係。
いつかこの関係を終わらせたい。
幼馴染みじゃなく、恋人という関係に。
────『世一くん!』
笑顔で俺の名前を呼ぶ顔も、照れると少し頬を染めて柔らかく微笑む顔も、俺の為に泣く顔も全部、全部。
誰にも渡さない。
「好きだ、雅」
ずっと、お前が好きなんだ。
俺は雅に顔を近づけて、優しく唇を重ねた。
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みかん - 更新待ってる (1月2日 0時) (レス) id: 5b00a62990 (このIDを非表示/違反報告)
きむち - お話どタイプすぎます最高です。更新頑張ってください^_^ (2023年3月16日 12時) (レス) id: d0a8f1c067 (このIDを非表示/違反報告)
チビ黒帽子(プロフ) - Fate要素満載やしカイザーと世一がこれから漫画より殺伐とした関係になってくるのを期待してます! (2023年2月15日 12時) (レス) @page29 id: 3cca07a536 (このIDを非表示/違反報告)
クロネコ(プロフ) - 更新された瞬間読みました!!次が楽しみすぎます 🥲 (2023年2月12日 13時) (レス) @page28 id: f505b755ef (このIDを非表示/違反報告)
ミルクチョコ(プロフ) - あの髪上げてる世一君いいですよね!わたしはその時死んでましたww (2023年2月3日 12時) (レス) @page24 id: 90f93b6301 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Yuri | 作者ホームページ:https://twitter.com/Yuri_Asum
作成日時:2023年1月14日 19時