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私はニコリと微笑んで挨拶をすると、目の前のユウさんは少し呆然としてから右目から出た小さな雫が頬をつたっていた。
「ゆ、ユウさん!?」
「あ、ご、ごめんなさっ…同じ国の人がいて、あ、安心して…っ」
「………」
きっと、ずっと不安で怖くて辛かったのだろう。
ユウさんは抑えていたであろう気持ちを吐き出し、涙をポロポロと流す。
私はユウちゃんが泣き止むまで、ゆっくりと優しく背中をさすってずっと傍にいた。
「────ごめんなさい。お見苦しいところお見せして…」
「全然大丈夫だよ。そりゃあ誰だって知らないところに来て不安になるものだし…」
ユウさんが泣き止んだ後、私はこのオンボロ寮の応接室に案内された。
簡単にこのオンボロ寮について説明され、ユウさんの他にグリムという喋る魔獣と暮らしているらしい。
あと、ユウさんは少し恥ずかしいとのことでユウちゃんと呼ぶこととなった。
「あ、そ、それで…私に御用とは?」
「今日はユウちゃんに女の子として必要な物を持ってきたの」
「えっ…」
まずは女子高生として必需品であろう化粧品等の類。
後は私のお古の服と女の子の日に必要なナプキン。
私は魔法で拡張したバックからテーブルに次々と出していく。
「化粧品に関しては肌に合わなかったらいつでも言ってもいいし、服もサイズやジャンルが合わなかったらなんでも」
「ゎ………ぃ……か……?」
「え?」
「わたし、おんなのこでもいいんですか…?」
「!!」
そうだ。彼女は女の子だとバレないよう男装していると聞いている。
キツいサラシを巻いて胸を潰して、よく見ると髪も大雑把に切られている。
ここに来る前は髪が長かったと分かる。
「っ当たり前だよ。ユウちゃんは今でもずっと、これから先だってずっと女の子だよ」
「っ…」
ユウちゃんは目を潤ませて、下に俯いた。
こういう時、盛り上がるような、それでいて気持ちがハッピーになるようなのは………そうだ。
「ユウちゃん、そこに立って」
「え?」
「はい、ビシッと」
「は、はい!!」
ユウちゃんに指示を出してソファから立ち上がらせてビシッと立ってもらう。
私はマジカルペンを出して長さを調整し、ユウちゃんのサイズを簡単に測る。
なるほど、かなりいい体型ときた。今度モデルになってもらいたい。
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まくすうぇる(プロフ) - 顔面の暴力wwwwwwシルバー夢少ないので嬉しいです😊 (2022年12月30日 22時) (レス) @page20 id: d0b3ca0e89 (このIDを非表示/違反報告)
夏実(プロフ) - 最推しの作品…!!めちゃくちゃ好きです!!キュンキュンが止まらない…!!!!大好きです!!!! (2022年12月22日 23時) (レス) id: eae39e15db (このIDを非表示/違反報告)
うーむ - なにこれ最高!!これからも頑張ってください! (2022年4月20日 13時) (レス) @page9 id: 0a139d0943 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - シルバーくんの作品全然なかったと思うんで、めちゃくちゃ嬉しいです!!更新無理せず頑張ってしてください!!!! (2021年12月9日 17時) (レス) @page7 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雄里 | 作者ホームページ:https://twitter.com/Yuri_Asum
作成日時:2021年12月5日 23時