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取り敢えず、真一郎さんはダンボールをガムテでガッチガチに固定して壊れている窓に貼り付ける。
また、ダンボールに黒い布…というより、バイクカバーで包んで外から黒く見えるようにした。
『結果はわかりませんが、ひとまずは大丈夫…だと思います』
「おう。ありがとな、美月。ワカも手伝ってくれてありがと」
「真ちゃんのためだから大丈夫。じゃあそろそろ帰ろうか。美夜さんが心配してると思うし」
『はい。さようなら、真一郎さん』
「またな、美月、ワカ!」
事務室から出て、今度は店のドアから出るとこちらに見覚えのある顔立ちをした男子がやってきた。
あれは……
『場地くん』
「ケースケ?」
「三条に、ワカさん!? なんで、この店から」
『あれ、佐野君の幼馴染みだから知ってたと思ってたんだけど…ここ、真一郎さんのお店なんだよ』
「シンイチローくんの…!?」
「バジ、この人とシンイチローって誰?」
「この人は黒龍初代メンバーのワカさん。シンイチローくんはその黒龍初代総長でマイキーの兄貴だよ」
「マイキーの…?」
佐野君(渾名)の名を呼ぶと、リーゼント君の目に動揺が走った。
初めて知ったから? いや、これは別の何かがありそう。
「で、ケースケ達はこんな時間帯にどうしたんだ?」
「え、えっと…」
「……このバブ、マイキーの誕生日にあげたら嬉しいだろうな、って」
少し慌てていた場地くんに代わり、リーゼント君が少しだけ虚ろな目をしてそう言った。
このバブ、というのは店内で展示されているバイクだ。
確かこれって…
「確かにマンジローの様子が目に浮かぶな。なにせ、誕生日プレゼントなんだからな」
「「え?」」
ワカさんがそう言うと、二人は素っ頓狂な声をあげた。
私もさっき、作業している時に知ったが、どうやらこのバイクは真一郎さんから佐野君にあげる最高の誕生日プレゼントらしい。
まだ中学生なのにバイクはダメだろ、と思うが今更止めることは出来ない。
あの兄にして、あの弟ありだ。
「へー…! シンイチローくんからマイキーに!」
『せっかくなら真一郎さんと話して来るといいよ。二人とも佐野君の友達なんだから、嬉々として話してくれると思うよ』
私がそう言うと、場地くんは何処か安堵し、リーゼント君の手を引いて、店内に入っていった。
「…帰るよお嬢」
『お嬢はやめてください』
「つれないな」
だって、嫌だし。
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遊ちゃん_SKZ(プロフ) - 最高です、、更新楽しみにしてます!!!! (2023年3月2日 18時) (レス) @page36 id: fe8355afed (このIDを非表示/違反報告)
Moon(プロフ) - こんにちは(*ˊᵕˋ*)コメント失礼します🙇♀️めっちゃこの物語良き過ぎます(๑•̀ㅂ•́)و✧更新されるのを楽しみにしています(*^^*)🎵𓈒𓏸 (2023年1月30日 22時) (レス) @page36 id: b2ea47ad96 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 更新ぜひしてもらえたらうれしいです!完結まで読みたいです! (2022年12月24日 7時) (レス) id: 5c55cc0d78 (このIDを非表示/違反報告)
ただのやベェ奴です - ウギャアァァァァア!更新停止!ウワァァ! (2022年10月10日 9時) (レス) @page36 id: 47436d7826 (このIDを非表示/違反報告)
Jjj(プロフ) - 遊馬雄里さん» 更新停止中なのですが、もうお話は続けていないのでしょうか…。とても面白くて見てて楽しいのでもっと見たいのです…。 (2022年6月8日 17時) (レス) @page36 id: 164c86cd11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雄里 | 作者ホームページ:https://twitter.com/Yuri_Asum
作成日時:2021年9月29日 0時